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2026年、ペロブスカイト太陽電池が量産化へ 積水化学900億円投資、国も1572億円補助

「実用化はまだ先」と言われ続けたペロブスカイト太陽電池が、2026年ついに量産へ動き出した。積水化学が約900億円を投じ、国も最大1572億円を補助する。日本発の次世代技術に、いま何が起き、投資家はどう向き合うべきか

Gold beans.編集部2026/06/25

2026年、ペロブスカイト太陽電池が量産化へ 積水化学900億円投資、国も1572億円補助
  • 軽くて曲がる日本発の太陽電池。2026年に積水化学が量産を開始した
  • 効率15%・寿命10年と課題は残り、当面は「載せられなかった場所」が主戦場
  • 積水化学・カネカなど関連株は人気だが、決算を見て分散・長期が鉄則

そもそもペロブスカイト太陽電池とは

「次世代の太陽電池」として、注目されているペロブスカイト太陽電池。「実用化はまだ先」と言われてきたが、2026年に入ってついに動きだした。日本の大手メーカーが相次いで量産に踏み出し、政府も巨額の補助金を投じているのだ。

ペロブスカイトとは、特定の結晶構造を持つ材料の名前である。この材料を使った太陽電池は、いまの主流であるシリコン型と比べて、次のような特徴を持つ。

1)薄くて軽い――フィルムのように曲げられる
2)塗って作る――印刷のような工程で量産できる可能性がある
3)原料のヨウ素を日本が多く産出する――資源を海外に依存しにくい

最大のポイントは「軽くて曲がる」ことだ。重いシリコンパネルは載せられなかった、耐荷重の低い屋根や、ビルの壁面、曲面にも貼れる。都市のあらゆる表面が発電所になるといわれるのは、このためである。そもそもこの技術を生み出したのは、日本の科学者・宮坂力(つとむ)先生だ。日本発の技術であることもあり、政府は国策テーマとして位置づけている(宮坂先生ご本人へのインタビューは記事末尾の【関連記事】を参照)。

動き出した日本のペロブスカイト

先行しているのは、積水化学工業の動きだ。同社は2026年3月にフィルム型ペロブスカイト太陽電池の事業をスタートさせた。さらに、2027年4月に大阪府堺市の新工場で100MW(メガワット)の量産ラインを稼働。2030年にはGW(ギガワット)級、つまり大規模発電所に匹敵する生産体制を目指す、という計画を掲げている。100MW稼働に向けた投資額は約900億円になる。

国も全力で後押ししている。積水化学の量産事業に対しては、総事業費3145億円のうち最大1572.5億円(補助率50%)という巨額の補助が決定した。経済産業省は2025年に積水化学、カネカ、パナソニックなど複数社へ総額246億円規模の支援も決めており、「日本発の技術を国産で量産する」という流れが鮮明になっている。

ペロブスカイトの「性能」と「課題」

とはいえ、すべてが解決したわけではない。現時点で公表されている積水化学のフィルム型の課題として、変換効率:約15%、耐久性が10年相当というものがある。
現在のシリコン型の住宅用パネルが効率20%前後・寿命20~30年とされることを考えると、効率と寿命ではまだ追いついていない。価格も量産が進むまでは割高になりがちだ。

もう一つ、見過ごせないのが「鉛」の問題だ。ペロブスカイトには有害な鉛が使われており、パネルが破損したときに環境へ溶け出すリスクや、廃棄・リサイクルの難しさが指摘されてきた。これに対し積水化学は、含有量はごくわずかだとしたうえで、使用済みパネルを自社で責任を持って回収する方針を示している。さらに研究レベルでは、鉛を毒性の低いスズに置き換える「鉛フリー化」も進む。京都大学の研究グループは2025年9月、スズ系で大面積に均一な膜をつくる技術を発表した。変換効率は10~17%程度とまだ鉛系に及ばないが、2030年ごろの実用化を見据えている。鉛は「解決済み」ではないものの、回収体制と鉛フリー研究の両面から、着実に手が打たれ始めている。

つまり、現時点の主戦場は「シリコンの代わり」ではなく「シリコンを載せられなかった場所」ということになる。
具体的には、災害時に避難所となる体育館や公共施設、耐荷重の低い屋根などから導入が始まり、その後に工場や倉庫の屋根・外壁へと広がっていく、というのが現実的なロードマップである。

実用化を後押しするのは、メーカーや補助金だけではない。軽くて曲がるペロブスカイトの強みは、屋根だけでなくビルの壁面で発電する建材一体型(BIPV)にある。そこで課題になるのが防火・安全だ。東京消防庁は2026年3月、電気設備を含む総合的な防火安全対策の報告書をまとめ、壁面に設置する太陽光発電の保守・点検や火災時の対応といったルール整備を行っている。これは普及を見越して安全の土台が整えられ始めたわけで、これもまた実用化に向けた動きといえるだろう。

自宅の屋根に載るのはいつか

多くの読者が気になるのは住宅用だろう。個人住宅向けの本格展開の時期は、まだ各社とも明確には公表していない。

開発各社のアプローチも分かれている。たとえばカネカは、ペロブスカイトとシリコンを重ねて効率を高める「タンデム型」を開発しており、商用販売は2028年度をめどとしている。住宅の屋根で「軽くて高効率」のパネルが当たり前に選べるようになるのは、もう少し先のようだ。
現状で新築や屋根のリフォームを検討している人は、まずは従来のシリコン型と補助金制度を比較しながら判断するのが現実的である。

投資テーマとしてどう向き合うか

国策・量産化という分かりやすいストーリーから、株式市場でもペロブスカイトは人気テーマだ。中心となるのは量産に踏み出した積水化学工業(4204)、タンデム型を手がけるカネカ(4118)などが代表格。さらに製造装置や材料を供給する関連企業まで、そのすそ野は広い。

ただし、テーマ株には注意も必要である。
期待が先行して株価が動きやすく、量産の遅れやコスト面の課題が表面化すれば調整もあり得る。「国策だから上がる」と安易には考えず、各社が実際にどれだけ量産・販売を伸ばせるか、決算の数字を確認しておきたいところ。新NISAの成長投資枠などで長期に向き合うなら、なおさら一社に偏らず、事業の進捗を見ながらということがポイントだ。

ペロブスカイト太陽電池は、2026年を「量産元年」として、研究段階から実用段階へと歩を進めている。一方で、住宅用の本格普及や効率・寿命の改善はこれからの課題である。

「日本発の技術が都市を発電所に変える」という大きな物語は、ようやく現実の第一歩を踏み出したところだ。期待と冷静さの両方を持って、続報を追いかけていきたい。

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