マクロ経済の潮流から日々の暮らしに寄り添うお金の話まで――複眼的な視点で「生活」と「ファイナンス」を読み解く実践的チーム。メンバーは、生活者のリアルを綴るライター、現場感覚を持つファイナンシャルプランナー、そして個人に最も近い立場でライフリスクと向き合う生命保険・損害保険の営業パーソン。異なる立場と経験から、単なる数字や制度にとどまらない“生きた情報”を発信している。
空き家は「社会課題」ではなく、投資の帰結として現れた
地方や郊外の築古戸建に投資対象を広げていくと、多くの投資家が行き着くのが空き家という存在だ。
全国では空き家の増加が続いており、特に地方部では管理されない住宅が目立つようになっている。
もっとも、築古戸建投資の文脈において、空き家は当初から目的として選ばれているわけではない。
取得価格を抑え、利回りを確保できる物件を探した結果、条件に合致したのが空き家だったというケースが多い。
地方では、相続後に活用されないまま放置された戸建て住宅が少なくない。
築年数は古いが、構造自体はしっかりしており、一定の修繕を施せば賃貸住宅として再生できる物件も多い。こうした住宅は市場に出にくく、価格が低く抑えられている点が特徴だ。
築古戸建投資家の多くは、こうした空き家を購入し、必要最小限のリフォームを行ったうえで賃貸に回している。
新築マンションのように設備や共用部にコストをかけるのではなく、「住める状態に戻す」ことに重点を置く。この考え方は、投資額を抑えつつ収益性を確保するうえで合理的だ。

結果として、築古戸建投資の広がりは、空き家の再生や流通を促す役割も果たしている。
空き家対策として行政主導の取り組みが進められてきたが、実際には、個人投資家の投資行動が空き家活用を後押ししている側面もある。
重要なのは、空き家活用が社会貢献を目的として進んでいるわけではない点だ。
投資として成立するかどうかを冷静に判断した結果、空き家が選ばれている。その積み重ねが、結果として空き家問題の一部を吸収しているに過ぎない。
投資対象が変わっただけの話
不動産投資が特別な存在になったわけではない。変わったのは、「どこに」「何を」投資するかという選択だ。
都心のマンションから、地方や郊外の築古戸建へ――その延長線上に、空き家活用という形が自然に現れる可能性もありそうだ。
不動産投資の舞台は、静かに移り変わっている。










