2030年までに豊洲化する?「京急空港線沿線」羽田空港と一体化後のポテンシャル

これから5年、東京都内で注目の地域をピックアップしてみた。キーワードは「再開発」「インバウンド」「アクセス」。そこで浮上したの地価7%の上昇の「京急空港線」沿線だ。そのポテンシャルとは。

山下努2025/04/02

着々と進行する2つ2開発ゾーン

羽田周辺の歴史について少し触れておこう。
国際化が進む羽田空港が立地する大田区は、その昔は海苔の養殖が盛んで、「浅草海苔」ブランドのOEM商品を供給していた。羽田空港はもともと広い干潟を利用して建設されたが、1945年の終戦直後、進駐軍が羽田空港拡張のために穴守稲荷神社の旧鎮座地周辺の町を48時間以内に強制退去させ、接収した経緯がある。

空港と対岸の海老取川西岸には町工場が集まり、かつての築地や月島のような雰囲気が残っている。

天空橋エリアが注目されるようになったのは、羽田空港の国際化に伴う滑走路の沖合移設が完了してからのこと。現在の天空橋駅(東京モノレール・京急羽田線)の北側にあった滑走路が不要となり、その土地が大田区に返還されたことで、空港機能を強化するための施設が建設されることになった。

その後、権利問題を整理し、空港跡地は2つの開発ゾーンとして再構成。「羽田グローバルウィングズ」として生まれ変わろうとしている。

この空港跡地全体(53ヘクタール)では、大規模な再開発計画が進行している。

その1つが天空橋駅周辺の開発だ。駅周辺は人通りがまばらだったが、大手ゼネコンの鹿島建設を含む9社が組んだコンソーシアムによる広大な再開発プロジェクトが進行。23年11月には「羽田イノベーションシティ」がオープンし、大きく変貌を遂げることが期待されている。

「HANEDA INNOVATION CITY」

「羽田グローバルウィングズ」の第1ゾーンは天空橋駅に直結し、一部の建物は天空橋の上に建設されている。ここには研究開発施設、ホテル、ライブホール、日本文化体験施設、医療センターなどが入居予定で、国家戦略特区に指定されていることから、空港利用者以外にもアピールする施設となる見込みだ。

鹿島建設、大和ハウス工業、京急、日本空港ビル、JR東日本、東京モノレールなど9社が事業に加わり、新たな開発計画の中には住宅の建設も検討されているが、詳細はまだ決まっていない。

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山下努

山下努経済アナリスト

不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(いずれも東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
(著者連絡先)windomaezaki@yahoo.co.jp

 

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