引っ越しの際の「原状回復トラブル」――その原因と解決策

賃貸住宅のトラブルが増加傾向にある。その4割は「現状回復」だ。こうしたトラブルが増える原因と、その対策を探る。

大谷昭二2024/04/02

引っ越しの際の「原状回復トラブル」――その原因と解決策
  • トラブルの原因は日本人的な曖昧さ、泣き寝入り体質などがあるという
  • 住宅メーカーなどによる富裕層向けに対する安易なアパート投資も要因
  • 本来業務から立ち位置が曖昧な宅建業者にも原因が

トラブルの4割は「原状回復」

国民生活センターへの賃貸住宅に関する消費生活相談は、毎年3万件を超えています。2021年度は35800件に達し、そのうち約4割、1万3000~4000件が原状回復に関する相談となっています。

我が国の民間賃貸住宅は、住宅ストック全体の約3割(1988年からの推移をみてもおおむね30%弱で推移していることがわかります)1343万戸を占めており、その市場整備は、国民の住生活の安定の確保及び向上の促進のためにも極めて重要です。
しかしながら民間賃貸住宅をめぐっては契約等に起因するさまざまな問題が従来から発生しています。

全国の「敷金診断士」(NPO法人日本住宅性能検査協会認定資格)に寄せられる賃貸アパート、マンションに関する相談業務は、年間1000件を超える水準で推移しており、また相談内容は、敷金・保証金の返還、原状回復、管理業務をめぐるものが多くなっています。さらに昨今、家賃債務保証業務等に関連して滞納・明渡しをめぐるトラブルが増加しています。

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この記事を書いた人

大谷昭二

大谷昭二NPO法人日本住宅性能検査協会理事長/一般社団法人空き家流通促進機構会長/元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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