投資用マンションの大規模修繕と管理組合

マンションオーナーにとって、頭の痛い問題が修繕積立金の問題です。とくにコロナが明けてからの資材、工事費が高騰し修繕積立金が不足するマンションが増えています。それは投資用マンションも同じこと。資産を守るためにどうすればよいか。

齋藤岳志2024/02/14

管理体制に不安があれば売却もやむなし

そのような中で、実際に私なりの直感で今一つしっくりこない、と感じたマンションの部屋を売却した経験もあります。

その物件は20㎡前後のワンルームタイプが中心の、総戸数40戸弱のマンションでした。
築年数としては15年くらいで、定期的なメンテナンスはしていましたが、大規模修繕工事は、まだ行っていない状態です。

大規模修繕工事の目安は、おおよそ12~15年くらいで周期的に行うのが良いと言われています。
しかし、管理組合総会の議案書を見ても、大規模修繕工事に関して、検討もされていない様子でした。そこで総会に出席したした際、質問をしてみました。

総会の場にいたのは、理事長と監事、建物管理会社の担当者と私だけ。
しかも、理事長も監事も、マンションに関して精通している雰囲気は感じられません。
理事長や監事も、ほかにやる方がいないから、仕方なく引き受けているような雰囲気でした。
そのため、議案などに関しても、すべて建物管理会社の言われるまま、という様子です。

そこで私が大規模修繕について質問をすると、
「大規模修繕? やる必要があるの?」
みたいな反応だったのを今でも覚えています。

返答に窮している理事長を見かねて、建物管理会社の担当者が、こう答えました。
「そろそろ必要かと検討はしていますが、まだ大きな修繕箇所も見受けられないので、引き続き、検討事項として組合に提案していきます」

この回答にしっくりこなかったため、総会の全体の雰囲気も勘案し「この部屋は売却しよう」と決断しました。

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この記事を書いた人

齋藤岳志

齋藤岳志CFP ・FPオフィス ケセラセラ横浜代表

1977年横浜市生まれ。2001年上智大学文学部哲学科卒。
百貨店、税理士事務所、経営コンサルティング会社への勤務を経て、2013年FPオフィス ケセラセラ横浜を開設。信用取引や商品先物取引、投資信託、FXなど投資という名の付くものは すべて経験し、その中で自身に一番合った大家業を2007年にスタート。 不動産投資に関するアドバイスを中心とした ファイナンシャルプランナーとして活動中.。著作に『FP大家だけが知っている資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由』(合同フォレスト)、『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか? インフレ到来で「貯めているだけ」は危険』(現代書林)がある。エフエム戸塚「戸塚井戸端会議。」レギュラー出演中。

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