元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
公示1週間前の出馬表明
小池百合子都知事は都議会定例会の最終日の6月12日、「少子高齢化や人口減少、自然災害など、総力を挙げて取り組むべき課題がまだ山積している。都民のためもっと東京をよくしていきたい。その覚悟をもって都知事選挙への出馬を決意した」と述べ、知事選公示1週間前、3期目への出馬表明を行った。
半年前には「当確」ともいわれたが、都知事選挙が近づくにつれて批判の風圧が高まったこともあって、出馬表明直前まで出馬断念をするのではという憶測も出ていたが、その去就を明らかにした。
これに先立つ5月28日には、小池知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」と公明党の都議団が小池知事に立候補を要請。吉住健一新宿区長、長友貴樹調布市長ら都内の52もの区市町村長が連名の出馬要請文を小池氏に手渡していた。23区の区長や多摩エリアの首長周辺によると、一部の首長から署名の要請動きがあり、自治体の首長間で広く声をかけて共同でお願いすることになったという。
しかし、一部の報道によれば、この署名も「小池知事からの依頼があった」ともいわれ、断るにも断れない区長や市長もいたらしい。
というのも、東京都は独自の税収だけで運営できる不交付団体だけに、傘下の市区町村への影響力は、分野によっては国より強い場合がある。とくに23区(特別区)の固定資産税など徴収は都が行っており、都から23区への補助金や予算等の配分は、都のサジ加減(政策判断)で決まる部分がある。財政力が見劣りする区にとっては、お金(予算)がほしければ、都知事には反抗的になれない事情があるため、頼まれれば嫌とは言いづらいという背景があるという。
いずれにしても、都内の62の区市町村(23区、26市、5町8村)のほとんどの首長が小池知事にひれ伏したことに違いはない。