元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
蓮舫参議院議員の都知事選出馬、逆風が一気に強まる
そんななかで5月27日に立憲民主党参議院議員の蓮舫氏(56)が「自民の延命に手を貸す小池都政をリセット」と都知事選挙への出馬を表明。これまで安泰という小池知事にさらに強い逆風が吹いた。といっても、この蓮舫氏も都知事選に出馬して落選しても、遠くない総選挙で衆院に鞍替え立候補するともいわれており、その前哨戦などともうがった見方もある。
とはいえ、小池知事にとっては逆風が吹き始め、その風力もますます強くなっていることに変わりはない。しかも、都知事選挙では30人あまりの立候補予定者の中には、「あのねのね」の清水国明氏、AIエンジニア、SF作家としても活動する38歳の安野貴博氏のほか、元自衛隊幹部らの名の知られた人もおり、安閑とはしていらない。
しかも、23年までは豊島区や江東区の区長選などで知事系の「都民ファースト」系が勝ってきたが、今年に入ると、目黒区で推薦候補が敗退。6月2日投開票の港区長選は神宮外苑開発に反対する女性前港区議に、現職の自民党系候補が6選を阻まれるなど、予想外の敗北もあった。これに先立つ4月の衆院の東京15区の補欠選挙も小池知事が応援した乙武洋匡氏が予想外の5位という大惨敗を喫し、明らかに風向きは変わったといえる状況だ。
加えて、6月1日、小池知事の地盤である豊島区の中心地の池袋周辺で「サヨナラ小池都知事」の反対運動が開かれ、黄色や赤のポスターを掲げた市民らが集まった。黄色のポスターには「嘘? カイロ大学歴詐欺疑惑」「議会で答弁拒否! 会見メディア規制! 質問させない、答えない」「7つの目標達成ゼロ!」「樹陰伐採と環境破壊 住民無視の再開発」と書いてある。赤のポスターには他に「税金ムダ遣い 都庁プロジェクションマッピング」ともある。
市民団体を味方に付けた小池知事が強かったときには考えられない、組織的な大量の反小池のポスターの「動員」はこれまでお目にかかれなかった光景である。