大正ロマンな銭湯とコミュニティの場になった風呂なし物件(東京都大田区)

お風呂がないというだけで借り手がみつかりにくい風呂なし物件を自分の手で改装し、1室をレンタルスペースにすることで風呂なし物件をアップデート。新たな風呂なしの魅力を再構築。

鹿島奈津子2024/02/05

レンタルスペースが生み出した副産物

その後、レンタルスペースに配置する家具を作ったり、空室になった部屋は自分で改装してみたりとオーナーさん自身のDIYスキルもどんどん上がっていきました。
レンタルスペースに必要なキーボックスの設置や支払いもペイペイなどを導入。Wi-Fiはもちろん、デスクや電子レンジも設置。押し入れ部分は本棚に改装し、利用者が読んでもらえるように本を並べ、その本も近所の人からの寄贈された本も加えられました。

そもそも畳のお部屋で落ち着いた雰囲気のため、一人作業や、撮影場所としても利用されることが多く、そのお部屋はレンタルスペースとしてアーティストの企画展などを行ったり、近所の人たちから利用されるようになって今では自然とさまざまなイベントが行われる場所になっています。

レンタルスペースとして利用されている室内

今では、それだけでなくオーナーさんが作った野菜をアパートの前で路面販売していて、ご近所のお年寄りが買いに来る様子がなんともアットホーム。さらにその前を通る方々がひと休みできるベンチも設置し、町とほんのり繋がっている様子がうかがえました。また、漫画家志望の方入居したときには、その方の絵画展の準備をみなさんが伝ってくれたとのことで、人と人がつながる場にもなったとことです。こうしたいろいろな用途が備わったことで、空室になっても入居者が途絶えることがなくなりました。HANPAはすぬま

おじいさまも、アパートが活用されて生き生きしていく様子をみて自分が撮った写真やこの地域の歴史についてなどをお話するイベントをお孫さんに企画してもらったりとオーナーさん一家自体もこの空間を有意義に使っていて、オーナーさんご自身が楽しんでおられる。そんな様子を見たり、お話をうかがいきっかけづくりにお手伝いしたことを私も嬉しく感じました。

野菜の路面販売
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この記事を書いた人

鹿島奈津子

鹿島奈津子東京銭湯ふ動産/株式会社フィールドガレージ 不動産担当

1985年8月生まれ。大阪府出身。
滋賀県成安造形大学住環境デザイン科を卒業後、京都で京町家の再生活用などに携わる。
結婚出産を機に上京し今は茅ヶ崎で男の子二人、黒猫一匹と暮らすシングルマザー。
2014年フィールドガレージ入社、2015年「東京銭湯-TOKYOSENTO-」で銭湯ライターとして活動。2018年7月「東京銭湯ふ動産」を立ち上げる。

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