実録「空き家処分」(2)――「空き家」の補助金は使える制度か?

山梨県内に特徴的な4軒の空き家を抱えるAさんの空き家処分体験記の第2弾。山梨県は空き家処分のために補助金などさまざまな支援策を打ち出している。しかし、それを使うとすると……実際に空き家を抱えた当事者と自治体の対応のギャップとは?

Gold beans.編集部2023/12/11

配布されたチラシ

実際チラシには「認定事業者が補助金申請・回収・契約・運営などすべてをサポートします!/認定事業者とは複数の空き家を活用して、地域活性化につながるビジネスを展開する県が認定した事業者です」と書いてあり、要はチラシを配っているのが自治体というだけ。その後のことはほおかむりで何らかのサポートをしてくれるわけではない。

「空き家補助金」は使えそうで使えない“カラ手形”

山梨県では空き家対策に補助金を出しているが、「これも安心はできない」と秋山さん。

補助金の内容は「空き家所有者が認定事業者に10年以上の空き家を賃貸等提供する目的で行う改修費用に補助金を交付します」というものだ。
その補助率は、改修費用の3分の2以内(上限250万円)。期限限定の特別枠もあるのだが、これも改修費用の4分の3以内(上限500万円)。しかも、特別枠の期限は「令和3年まで」。そもそも秋山さんがこのチラシを手にしたときはすでに応募期間が過ぎていた。

今も継続している可能性があるものの、特別枠は、移住・二拠点居住、関係人口の増加など、東京一極集中の是正につながる施設関連に限定される。要は秋山さんが抱える空き家が適合するのかどうかわからない。
いわば、補助金といっても“カラ手形”に近い。

また、空き家活用の主な流れは、次のようになっている。

応募→宅建協会が調査→認定事業者とのマッチング→改修計画→補助金

しかも、ご丁寧に「※マッチングされない場合もございます」とあり、「なんだか詐欺みたいな婚活アプリのようですよね」と秋山さんはあきれる。

自治体は相続登記の義務化に打つなし?

一方、甲府市の空き家相談窓口では「甲府市では、空き家の高木管理・伐採につきまして、専門家団体と連携し対応しています。高木のことでお困りの合は、協同組合 甲府市造園協会の業者にご相談ください」といったチラシを大量にばらまいている。

秋山さんが8月に空き家予備軍の叔母の家に行ってみると、甲府市空き家相談窓口から、手紙が届いていたという。その内容は、空き家の樹木が道路に延び、交通の支障になっていると、家の状況を撮影した写真も同封されていた。
しかし、その写真は秋山さんが草刈りをする直前の写真で、手紙を送って来たのは秋山さんが対応する以前のものだった。そのため市にそのことを相談し、危うく草刈りをされてその作業費を請求されそうになっていた。

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