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【月経困難症】7~8割の女性が抱える悩みを3つに分類 タイプ別漢方の選び方

月経痛やPMS、月経周期の乱れなど、月経にまつわる不調に悩む女性は7~8割にのぼると言われています。東洋医学では、血の問題に気や水の乱れが加わった状態ととらえます。症状を3つのタイプに分け、それぞれに合う漢方薬8種を紹介します。

斉藤明美2026/10/21

【月経困難症】7~8割の女性が抱える悩みを3つに分類 タイプ別漢方の選び方
  • 月経痛・むくみ・イライラが起こる仕組みを「気・血・水」で整理
  • 血の異常・水毒・気滞の3タイプ別に、漢方薬8種の選び方を紹介
  • からだを温める工夫と、症状別に取り入れたい食材のポイント

この記事でわかること

・【血の異常タイプ】頭痛・下腹部痛・腰痛に効く漢方(桂枝茯苓丸ほか4種)
・【水毒タイプ】月経前のむくみ・頭痛・冷えに効く漢方(当帰芍薬散/五苓散)
・【気滞・気逆タイプ】イライラ・気分の落ち込みに効く漢方(抑肝散/加味逍遥散)
・月経痛を和らげる生活の工夫と、症状別に取り入れたい食材

月経時の腹痛・腰痛・頭痛、月経前に生じる不快なPMS、さらに月経周期の乱れなどの月経不調に7~8割の女性が悩んでいると言われています。

さまざまな症状に対し東洋医学的には血の問題に気や水の乱れが加わった状態ととらえます。

痛みの主な原因は不要になった子宮内膜を体外に排出するために分泌される「プロスタグランジン」の過剰分泌により骨盤内に血流が滞ることによります。

また、月経前のむくみは排卵後から月経がはじまるまでに分泌される黄体ホルモンが体内に水や塩分をため込もうと働くことが主な原因です。

月経前のイライラなど不安定な気分は女性ホルモンの急激な変動と脳内物質「セロトニン」の低下による自律神経の乱れと考えられます。

このほか、ストレス、疲れ、睡眠不足、自律神経の乱れ、食生活の乱れなどでホルモンバランスが崩れることも一因と考えられます。

漢方薬を上手に使うことで「気・血・水」のバランスを整えて不快な症状を改善しましょう。

頭痛や下腹部痛、腰痛――血の異常タイプ(血虚・瘀血)

子宮内膜を経血と共に外へ押し出すために子宮を縮める作用の「プロスタグランジン」は、血管を縮める働きがあり血流の滞りをまねき(瘀血)、骨盤内に冷え(血虚)があると血液循環が悪くなり痛みの原因物質が溜まりやすくなります。

頭痛や下腹部痛、腰痛のほか、血虚の場合には、冷え、貧血傾向、疲れやすい、瘀血の場合には冷え・のぼせ、腹部の膨満感、時に便秘傾向、肌荒れ・ニキビ、月経血にレバー状の塊が多いなどの症状がみられます。

血の巡りを整えながら、血に栄養を補い症状を改善します。

桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

【主な症状】比較的体力はあり、冷えのぼせ(足は冷えているのに、顔や頭はほてる)、肩こり、シミやアザができやすい、頭重、下腹部痛、生理前や生理の前半が特につらい

【効果】血の滞りを改善しながら、随伴して起こる気や水の障害を整えます。打撲にも効果があります。

【成分の効能】桃仁(トウニン)、牡丹皮(ボタンピ)、芍薬(シャクヤク)で血の滞りを改善させます。桂枝(ケイシ)はからだを温めながら気を巡らし、茯苓(ブクリョウ)は水の代謝を整えます。

桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)

【主な症状】体力中等度以上で、のぼせ、便秘傾向、生理前にイライラや不安を感じる、頭痛、肩こり、めまい

【効果】血の巡りを改善しながら、からだの熱をしずめることで症状を改善します。

【成分の効能】桃仁で血を巡らせ、大黄(ダイオウ)、芒硝(ボウショウ)でからだの熱を解消しながら便通を整えます。桂枝はからだを温めて血の巡りや気の流れを整えることで症状を改善します。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)

【主な症状】手足の強い冷え、冷えに伴う頭痛・腹痛・腰痛、しもやけ

【効果】血を補いながらからだを温めることで手足などの末梢も温めるとともに、からだの深部にもはたらき、冷えによる頭痛や腰痛といった痛みなどの症状を改善します。

【成分の効能】呉茱萸(ゴシュユ)で胃やお腹を温め、生姜(ショウキョウ)で胃腸を温め、桂枝はからだの内側を温めます。細辛(サイシン)はからだの深部にある寒気を追い出し手足の末梢を温め、当帰(トウキ)は血を補い、芍薬、甘草(カンゾウ)は痛みを和らげます。大棗(タイソウ)、木通(モクツウ)で余分な水分を追い出します。

温経湯(ウンケイトウ)

【主な症状】手足はほてるが手足腰などの一部分は冷える、唇が乾く、おりものが多い、手荒れ・湿疹、不眠

【効果】からだを内側から温め、不足している血を補ってからだに栄養と潤いを運び、ホルモンバランスと血の巡りを整えて血行を促進することで症状を改善します。

【成分の効能】呉茱萸は胃や下腹部を温め冷えによる腹痛・頭痛を改善、桂枝はからだ全体の血行を促し、当帰は血を補い、川芎(センキュウ)は血を巡らせることで痛みを解消し、牡丹皮は古血の滞りを取り去ります。阿膠(アキョウ)は滋養や保湿、麦門冬(バクモンドウ)は水分を補給、人参(ニンジン)、半夏(ハンゲ)、甘草は胃腸の働きをアップすることでエネルギーを回復させます。

むくみ、頭痛、冷え――水代謝の異常タイプ(水毒)

両手でこめかみを押さえ、頭痛をこらえる女性

月経2週間前くらいになると黄体ホルモン量が変化し、からだに余分な水分を貯留させるため水毒傾向になります。水分代謝が悪くなると、月経前にむくみがみられるほか、頭痛や冷えなどの症状を伴います。また水毒は、胃腸を冷やす原因となるので注意が必要です。

水分バランスを整えながら、必要があれば胃の不調を改善して症状を和らげます。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

【主な症状】体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり特に足腰が冷える、むくみやすい、(色白で)肌がひんやりしている、頭重、めまい、立ちくらみ、耳鳴り

【効果】全身に血を補うことで栄養素や酸素などを運び血行を改善すると同時に水分代謝を整えることで余分な水分をからだから取り除き、足腰の冷えや月経不順等を改善します。

【成分の効能】当帰、芍薬は血を補い血行を促し、川芎は滞っている血の流れをスムーズに整え血行を促進し痛みを和らげます。茯苓、沢瀉(タクシャ)は水分の滞りを改善して消化機能を高めます。

五苓散(ゴレイサン)

【主な症状】頭痛、吐き気、むくみ(顔、足など)

【効果】体内の水分の偏りを整えることで余分な水分を動かし、正常な巡りに整えます。

【成分の効能】茯苓、猪苓(チョレイ)、沢瀉、白朮(ビャクジュツ)は水を巡らせ利尿を促し、桂枝はからだを温めて気血水の巡りを助け、水分の排出を促します。

イライラ、気うつ――気の巡りが滞るタイプ(気滞・気逆)

イライラしたかと思うと突然にうつうつとし、気力がなくなるなど不安定な精神症状がみられるタイプ。気の巡りが滞る気滞や、気が上にあがりのぼせる気逆が複合的に生じ、気分の浮き沈みが起きることが特徴です。月経前、排卵期が最も気が滞りやすくなるため、精神的な乱れが顕著になります。気の発散を助けながら、からだに溜まった熱をさまし症状を改善します。

抑肝散(ヨクカンサン)

【主な症状】月経前のイライラや落ち込み、日頃からカッとしやすい・怒りっぽい、不眠傾向(神経が昂ぶって目が冴えて眠れない、眠りが浅い)、筋肉の緊張・まぶたのピクつき

【効果】心身の栄養を補いながら、気を巡らせて神経の高ぶりを抑えて症状を改善します。

【成分の効能】釣藤鈎(チョウトウコウ)は神経の高ぶりを鎮め、柴胡(サイコ)はストレスによる気の巡りの滞りを整えることで胸の苦しさやイライラを解消します。当帰・川芎は血を補い、血行を良くして心身の栄養不足やこわばりを改善します。白朮・茯苓は消化機能を整え、体内の余分な水分を排出して、精神を安定させます。甘草が諸薬の働きを調和させます。

加味逍遥散(カミショウヨウサン)

【主な症状】体力中等度以下で、突然ののぼせ感、精神不安やいらだち、肩こり、疲れやすい、便秘、不眠など症状が不安定で、日々の症状が変化しやすいことが特徴です。

【効果】上にのぼった気を下げて全身に巡らせるとともに、たまった熱をさまし、さらに不足している血を補います。また肝の働きも安定させることで自律神経の乱れを改善し女性特有の症状を改善します。

【成分の効能】柴胡と薄荷(ハッカ)で気の巡りを助け、山梔子(サンシシ)はからだにこもった熱をさまし、牡丹皮は血の巡りを改善、当帰は不足している血を補い、白朮、茯苓、生姜は胃の機能を助けることで水はけを整えます。

月経痛対策のワンポイントアドバイス

【日常生活のポイント】
・腰やお腹、足元をカイロや入浴で温める、軽いストレッチなどで血行を良くする
・冷たい飲食物はからだを冷やすのでなるべく控える
・食養生を取り入れる

【食養生で取り入れたい食材】
・イライラを抑え精神を安定させる
 青魚、バナナ、ナッツ類、大豆製品、三つ葉や春菊、柑橘系、牛乳・ヨーグルト
・むくみの改善
 大根、あさり、冬瓜、とうもろこし、小豆、キュウリ
・血の滞りを改善する
 青魚、タマネギ・エシャロット、納豆、海藻類
・からだを温める
 生姜、にんにく、タマネギ、人参、かぼちゃ、納豆、牛肉、紫蘇
・貧血の予防
 レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじき

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『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』斉藤明美 著
『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』斉藤明美 著

この記事を書いた人

斉藤明美

斉藤明美薬剤師・医学博士

北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。

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