1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

自宅兼事務所 独立時に忘れがちな賃貸の壁
テレワークの定着や副業解禁の流れを受け、自宅で仕事をする人は確実に増えている。会社勤めを続けながら個人事業を始める人や、法人を立ち上げて独立する人もめすらくなくなった。そうなると、自宅を事務所として使えないかと考えるのは自然な流れだろう。
ところが、郵便受けに屋号や法人名を掲示しただけで、家主や管理会社から説明を求められることもある。また、事前に相談した結果、「事務所利用なら退去してほしい」と告げられ、戸惑うケースもある。この問題の本質的なものは、「居住専用」とされる物件で、どこまで仕事目的の利用が許されるのかという点にある。
一般論として、居住専用物件を純粋な事務所として使うことは認められない。ただし、「事務所」という言葉が指す範囲は広く、すべてが一律に禁止されるわけではない。実際、自宅で仕事をするテレワークは、今や特別なものではなく、会社側が推奨している場合もある。
居住専用物件を事務所として使われることに対して、家主や管理会社が気にするのは、不特定多数の人が出入りすることによって、建物の安全性や他の入居者の生活環境が損なわれるのでhないかという点だ。来客が増えれば防犯上の不安が高まり、駐車場や駐輪場の利用トラブルにつながることもある。事務機器を部屋に入れることで、物件の劣化が早まる懸念もあって、家主にとっては見過ごせない。
逆に言えば、自宅兼事務所であっても来客がほとんどなく、実際の生活実態が変わらないのであれば、直ちに契約違反と判断されるとは限らない。法人にしても、実態は在宅勤務と変わらず、登記や郵便物の都合で法人名を表示しているだけ、というケースも多い。このような利用形態であれば、他の入居者への影響は小さいだろう。
重要なのは、管理会社や家主への説明だ。業務内容や来客の有無、頻度を具体的に伝え、「万が一迷惑が生じた場合は事務所利用を中止する」といった念書を提出することで、理解が得られることもある。
それでも承諾が得られない場合には、レンタルオフィスや法人登記可能なバーチャルオフィスを併用するという現実的な選択肢もある。住まいと事業、それぞれを無理なく両立させる視点が求められるのである。
特に法人登記する場合は、注意が必要だ。









