一級建築士、宅地建物取引士。
多くの大工棟梁を育てた工務店の三代目として育つ。家業をベースにした「地場工務店を経営する一級建築士事務所」として多様な暮らしに寄り添った家づくりを実現。「住まう人のやりたいをかたちに」を経営理念とし、家の設計から新築やリフォームの建築工事までをワンストップに取り組む家づくりに詳しい専門家。
前回は日本の伝統工法を表す用語をご紹介しましたが、今回は工業化された家の工法をみていきます。家の工法に関する用語はよく耳にする割に、具体的な意味は知らないということが多いものです。「プレハブ」とか「ツーバイフォー」という言葉はその典型でしょう。今回はそういう「知ってるようで知らない」用語がたくさん出てきます。
小林桂樹2025/05/06
職人技術を必要としない工法で住宅を大量供給
☆建築士EYES
日本の家の工法(骨組みの仕組み)は種類が多く、世界でもめずらしいほどです。
こうした特殊な現象は、戦後日本で進められてきた大量生産・大量消費の「最適工業化社会」を反映しています。
特にユニット工法やパネル工法は、プレファブリケーションという工業化の流れの中で開発されました。こうした工業化の流れは、全国的に同じ間取り、同じデザイン、同じ住環境の家を広め、同じような生活スタイルを定着させました。
39)プレハブ[ぷれはぶ]
プレファブリケーション(prefabrication)の略語。工業化された家を「プレハブ住宅」というが、家が不足した時代に「とにかく棟数を数多く」こなすことを目的に研究開発して、全国に同じような家を供給してきた「住宅工業化の手段」。間取りの自由度は思ったほど高くない。
40)2×4工法[ツーバイフォーこうほう]
日本語で「枠組壁工法」といわれる通り、枠のように組まれた壁が主要な構造になっているので、開口部(窓)が小さいのが特徴。2インチ×4インチの断面を持つ木材で壁の枠組みをつくるので「ツーバイフォー」と呼ばれる。現場作業は壁の組立てが主となり、在来工法のような高度な職人技術を必要としない工法。「輸入住宅」はそのほとんどがこの工法でつくられている。
41)木質パネル工法[もくしつパネルこうほう]
組立工場で造られた壁パネルを現場で組み立てて住宅をつくる工法。ちなみに、家の建築部材を工場で造ることを「プレハブ(プレファブリケーション)」という。ツーバイフォー工法に似ているが、こちらの方が工場生産率は高く、現場での生産性はよい。しかし両者ともに間取りの自由設計に対応しにくい。
42)丸太組工法[まるたぐみこうほう]
通称「ログハウス」と言われる工法。文字通り、丸太(ログ)を横に積み重ねて壁をつくってから屋根を掛けて家のかたちにしている。ワンルームの部屋が特徴。最近の自然派志向ブームで人気があるが、主にリゾート向け。
43)軽量鉄骨造[けいりょうてっこつぞう]
在来工法の木材を鉄骨に置き換え、工場生産した鉄骨部材で家の軸組(柱、梁など)が造られる工法。「プレハブ」のなかでは比較的間取りは自由になるものの、仕上げ材、特に内部仕上げに使われる「むく」の木材と鉄骨部材の相性はあまりよくないので、化学的に合成された木質建材や「集成材」が使われる。鉄と木では温度湿度による膨張の度合いが違う。
44)ユニット工法[ゆにっとこうほう]
家をつくる部材の7割から8割を工場で生産してしまう最も「工業化住宅(プレハブ住宅)」らしい工法。家を部屋の単位で「ユニット化」してしまい、現場で組み立てるので、建築現場での作業比率が少なく工期が極端に短い。あなたもあっという間に出来上がってしまった家を見たことがあるでしょう。ユニット工法の欠点は、現場まで運ぶ大きさが決められるので、必然的に部屋の大きさが決められてしまうこと。
45)RC造[あーるしーぞう]
鉄筋コンクリート造の略語。鉄筋コンクリートで建物の床、壁、天井、屋根をつくられた建築物の構造。戸建ての家ではあまり目にすることがない。
46)S造[えすぞう]
Sはスチール(steel)のエス。規模が大きく背が高い建物(マンションやビル)はこの重量鉄骨構造といわれる工法で造られることが多い。戸建ての家づくりでは重量ではない軽量の鉄骨を使う「軽量鉄骨造」がよく用いられる。
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この記事を書いた人
小林桂樹株式会社パウムテック代表取締役
一級建築士、宅地建物取引士。
多くの大工棟梁を育てた工務店の三代目として育つ。家業をベースにした「地場工務店を経営する一級建築士事務所」として多様な暮らしに寄り添った家づくりを実現。「住まう人のやりたいをかたちに」を経営理念とし、家の設計から新築やリフォームの建築工事までをワンストップに取り組む家づくりに詳しい専門家。
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