最低3か月の固定費を確保――安定したマンション投資

マンション投資での最大のリスクは空室になることだ。しかし、それ以上に注意しなければならないのはその後の対応だ。空室がなかなか埋まらないと焦らないために必要なこととは。

齋藤岳志2024/08/02

最低3か月の固定費を確保――安定したマンション投資
  • マンション投資では、定額の固定費が必ずかかる
  • 「誰でもいいから」がマンション投資でもっとも危険な考え方

空室――マンション投資の不安材料

創業時からお世話になっている異業種交流会的な場で、大家さん同士の対談をする場を作って頂きました。

お相手は、千葉など郊外をメインにファミリー向けの区分マンションや一棟物件の大家をされている方。
一方の私は、都内・横浜などの都心部の中古ワンルームの大家です。
立地や選んでいる物件など含めて、一見すると対照的に見えるのですが、共通している点がありました。それは、「住まいを提供する賃貸業は、コロナ禍や景気など関係なく、安定している」と感じていたこと。

都心中心部の一等地で、賃料も高額な物件などであれば話は変わってきます。ただ、店舗や事務所とは違って、世の中の景気動向に左右されにくい住居に関しては、コロナ禍などがあっても影響を受けることなく、退去があっても、次の入居者様が程なくして決まるという、いつも通りの感じだったな、という印象を、2人とも持ち合わせていた、ということです。

衣食住といわれますが、住まいはまさに「住」を担う部分。
その「住」を提供して差し上げる不動産投資、大家業は、立地と賃料のバランスさえ間違えなければ、世の中の動向などに左右されず、安定的な経営を行えるというイメージです。

とはいえ、それはあくまでも結果論。
私はちょっと楽観的な所があるのであまり意識していなかったのですが、お相手は、「最悪を想定していた」とのこと。

不動産投資、大家業での「最悪な事態」とは、どんな状態でしょうか?
災害で物件が棄損してしまう。
ローンの返済が滞ってしまう。

など、思い当たることはいろいろあるかもしれませんが、1番の最悪は、「保有している部屋が全部空室になること」ではないか、と私は考えています。

不動産投資とは言いますが、大家業という事業です。収入である賃料という売上がなかったとしても、「管理費や修繕積立金」「毎月の返済」「固定資産税」など、部屋を保有しているだけで、出ていくお金が一定額あります。いわゆる「固定費」というものです。

世の中にはいろいろな事業がありますが、大家業は、固定費など支出として出ていくお金が、基本的に毎月ほぼ定額で分かりやすい
のが特徴です。

何部屋保有しているかによっても異なりますが、最悪の事態への備えとしては、「毎月の固定費の3ヶ月分くらい」をプールしておくことが、安心感につながるのではないか、と私は感じています。
どこに部屋を持っているか、賃貸需要のあるエリアかどうか、などによっての違いはありますが、いわゆる都心部であれば、私自身2007年のスタート以来、2か月以上の空室経験がありません。
賃貸管理会社のおかげではありますが、本当にありがたいことです。

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この記事を書いた人

齋藤岳志

齋藤岳志CFP ・FPオフィス ケセラセラ横浜代表

1977年横浜市生まれ。2001年上智大学文学部哲学科卒。
百貨店、税理士事務所、経営コンサルティング会社への勤務を経て、2013年FPオフィス ケセラセラ横浜を開設。信用取引や商品先物取引、投資信託、FXなど投資という名の付くものは すべて経験し、その中で自身に一番合った大家業を2007年にスタート。 不動産投資に関するアドバイスを中心とした ファイナンシャルプランナーとして活動中.。著作に『FP大家だけが知っている資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由』(合同フォレスト)、『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか? インフレ到来で「貯めているだけ」は危険』(現代書林)がある。エフエム戸塚「戸塚井戸端会議。」レギュラー出演中。

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