少子高齢、人口減少だけではない「空き家900万戸」の背景にあるもの

2023年10月時点の空き家の数は過去最高の900万戸、空き家率も13.8%と増え続ける一方で、さらに増えることが予想される。その原因は少子高齢、人口減少といわれるが、それだけにとどまらない空き家が増える日本が抱える課題とは何か。

沖原正也2024/06/07

大都市圏と地方にある自然環境による格差

2019年の台風19号によって崩落した千曲川に架かる鉄橋

その特異な地形によって、わが国は温帯モンスーン気候に属し3日ごとに晴雨が繰り返される。さらに台風の通り道であり、春先には偏西風によって黄砂が飛来する。また、国土の6割が積雪地帯ということを認識されている人は少ないが、実は世界最大級の豪雪地帯なのである。
海に目を転じると、世界最大の日本海流(黒潮)が流れ、世界最速の鳴門の潮流がある。また、干満の差も大きく、有明海では6メートルに達する。

加えて、近年の「異常気象」が全国で頻発する豪雨による土砂崩れや水難事故も1つの要因となっている。たとえば、2014年8月にあった広島市の安佐北区の山際の住宅地の崩壊、2019年7月の倉敷市真備町(岡山県)の住宅地への洪水、同じ年10月の千曲川(長野県)のはん濫などは、いずれも人が住むには難しい地域で、無理に開発を進めたことも一因だ。
ハザードマップでは自然災害の危険を示すエリアがわかるようにしているが、いまなお、危険地域の住民を安全な地域への移住措置はほとんど進んでいない。

1 2 3 4

この記事を書いた人

沖原正也

沖原正也

山口県柳井市出身。東北大卒業後、マツダに入社し、人事の採用担当などで活躍。岸田文雄首相の妻となる女性も採用した。『「会社離れ」のススメ』の出版を期に、これを実践するために52歳で早期退職。退職後は、春は桜前線北上、夏は北海道避暑、秋は紅葉前線南下と気ままな生活を送っていたが、70歳を過ぎて相続土地処分のため多忙な生活を送ることとなった。これをきっかけに広島市内に相続不動産処分会社「滝桜不動産」を企業。自宅の近隣の空き家や農家の不動産の販売も引き受けている。

  • WEB

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています