不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(いずれも東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
(著者連絡先)windomaezaki@yahoo.co.jp
東京の再開発で注目されている神宮外苑と築地市場跡地。しかし、この2つの再開発をめぐっては自然破壊という共通した問題点があるという。水際を愛した永井荷風の足跡を辿りながら東京再開発について検証する。
山下努2024/04/15
一方、早くも四方八方に延びた市街電車の廃線も始まっていた。そうした中、電車を乗り継いで日々、荷風が川歩きで見つけた小松川閘門(1927年[昭和2]年建造)は、荷風を感激させている。
小名木川が荒川放水路に注ぐ河口部において荷風は「掘割の岸セメントにて築かれ……巴里セーヌ河畔の如し」と感嘆した。その様子は水運随筆ともいえる『放水路』(昭和11年)に収められている。
荷風好きの映画人も少なくない。昭和30年には荷風の原作の『渡り鳥いつ帰る』ができた。その映画には、中川と荒川をつないだ船堀閘門が撮影されている。昭和13年の随筆『面影』にも出ている。
『濹東綺譚』は2度も映画化され、2作目は新藤兼人監督、主演は津川雅彦である。
「際」を愛した男は、江戸懐古調ともいわれるが、失われる江戸の水辺の風景を生涯歩き続けた部分にはあまり光が当たっていない。
そして、荷風を著名にした『墨東綺譚』を連載した新聞社は、荷風の愛した築地にあるがが、経営が傾いたのか、今や再開発で水際を埋める話に躍起のようだ。
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山下努経済アナリスト
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