新技術をになう人材育成の動きも始まった

こうした将来への期待が高まるペロブスカイト太陽電池実用化に向けた動きが着々と進んでいる。
2023年10月、岸田首相は2025年にペロブスカイト太陽電池の実用化を目指す考えを表明。国内企業の量産を支援し、2030年には公共施設や駅、学校などで導入するとしている。
また、民間では「ペロブスカイト太陽電池アドバイザー」という資格の創設されている。
このペロブスカイト太陽電池アドバイザーは、持続可能なエネルギーの未来を築く国民運動の中核として活躍することを目的にペロブスカイト太陽電池技術の普及を積極的に推進する役割を担うという。
ペロブスカイト太陽電池アドバイザーを創設したNPO法人日本住宅性能検査協会理事長の大谷昭二氏は、その役割について次のように話す。
「ペロブスカイト太陽電池アドバイザーの役割は多岐にわたります。第一に、ペロブスカイト太陽電池の利点と応用分野について一般の方々に分かりやすく説明し、その魅力を広めることです。さらに、専門的なアドバイスや情報提供を通じて、個人や企業がペロブスカイト太陽電池を採用しやすくするサポートを行います」
また、有資格者を通じた連携ができるという。
「環境への配慮やエネルギー効率の向上を志向する個人や団体を結集し、ペロブスカイト太陽電池導入を促進し、クリーンエネルギーの普及に向けて協力し合います。
そして、持続可能な未来を実現するための役割を果たすために、専門知識をもって活動していきます」(大谷さん)
ペロブスカイト太陽電池は実用化は、まさに動き出したばかり。この技術や実用化当たっては専門知識が必要になる。そのアドバイスやサポートを提供するのがペロブスカイト太陽電池アドバイザーというわけだ。
日本では、2023年5月に、東京・港区のビルにペロブスカイト太陽電池を採用した屋根が完成するなど、すでにいくつかの企業が商用化に成功し、一歩先んじている。とはいえ、世界各国の政府や企業も、ペロブスカイト太陽電池の研究開発に積極的に取り組んでいる。その最大の脅威はやはり中国だ。
日本は太陽光発電、太陽電池では、世界に先駆けて開発に力を注いできた。しかし、いざ実用化が進んだ段階では、世界に後れをとってしまった。ペロブスカイト太陽電池は日本の科学者が発明し、その素材になるヨウ素も国内で確保ができる。シリコン太陽電池の失敗の二の舞にだけはならないようしてもらいたい。
ペロブスカイト太陽電池アドバイザー認定講座(2024年1月20日開講予定)