ペロブスカイト太陽電池 次世代の再生可能エネルギーが作る未来

いち早く太陽光発電に取り組みトップランナーだった日本だったが、今や中国をはじめとした世界各国に遅れをとっている。そんななかで日本人が発明し、素材調達で国内で可能という新たな太陽光電池「ペロブスカイト太陽電池」に注目が集まっている。その実力と可能性を探る。

Gold beans.編集部2023/12/27

ペロブスカイト太陽電池の活用範囲

用途の広がりはさまざまところで(画像:NPO法人日本住宅性能検査協会)

しかしながら、次世代の再生可能エネルギーの中心として期待されるペロブスカイト太陽電池はどのように活用できるのだろうか。
ペロブスカイト太陽電池の最大の特徴は、従来のシリコン太陽電池と比べ薄くて軽く、製造コストも安価という点からさまざまな用途での活用が期待されている。
具体的には次のようなものが考えられている。

■自動車
自動車は、走行中に太陽光を受ける機会が多く、太陽光発電による電力供給容易だ。
ペロブスカイト太陽電池を自動車に活用する方法としては、大きく分けて2つある。

1)車体への貼り付け
車体への貼り付けは、最もシンプルな方法で、車体の屋根やボディなどにペロブスカイト太陽電池を貼り付けることで、走行中に太陽光を吸収して発電することができる。
2)窓ガラスへの埋め込み
窓ガラスへの埋め込みは、車体への貼り付けに比べて見た目がスッキリするというメリットがある。また、車体への貼り付けよりも発電量を増やすことも可能とされる。

現在、自動車メーカー各社はペロブスカイト太陽電池の自動車への活用を検討中だ。2023年には、日産自動車がペロブスカイト太陽電池を採用した軽自動車のコンセプトカーを発表している。

■建物
建物へのペロブスカイト太陽電池の活用も、期待されている。
建物は、屋根や壁、窓ガラスなど、太陽光を受ける面積が広いため、太陽光発電による電力供給に適している。ペロブスカイト太陽電池を建物に活用する方法は、大きく分けて3つある。

1)屋根への設置
屋根への設置は、最も一般的な方法で、屋根全体にペロブスカイト太陽電池を設置すれば、建物全体の電力を賄うことができる。
2)壁への設置
壁への設置は、屋根への設置に比べて設置面積を抑えることで、都市部などの狭小地での活用に適しています。
3)窓ガラスへの埋め込み
採光と発電を両立させるのが窓ガラスへの埋め込みだ。しかも、屋根や壁への設置に比べて見た目がスッキリするというメリットもある。

■モバイル機器
モバイル機器へのペロブスカイト太陽電池の活用は、電池の持続時間を延ばすことが可能になる。

■IoT機器
IoT機器へのペロブスカイト太陽電池の活用は、電源の確保が難しい場所での活用に適しています。

■ハウス栽培の省エネ化
ペロブスカイト太陽電池は、光合成に有効な光を透過させることができる。この特徴を活かすことで、ハウス栽培の省エネ化に対しても期待されている。
例えば、ハウス内の照明や換気システムの電源としてペロブスカイト太陽電池を活用することで、光合成に必要な光を遮ることなく、エネルギー消費を削減することも可能だ。

■農業機械の自動化
ペロブスカイト太陽電池は、電源工事の必要が少ないため、農業機械の自動化への活用も期待されている。
具体的には、農機具にペロブスカイト太陽電池を搭載することで、電源ケーブルを接続する必要がなくなり、機械の移動や配置が容易になる。

■スペースデブリ(宇宙ゴミ)の除去
宇宙開発にもその活用性が期待できる。
スペースデブリの除去へのペロブスカイト太陽電池の活用は、スペースデブリを太陽光発電で動かすことで、回収や除去を容易にすることも可能だ。

ペロブスカイト太陽電池は、まだ実用化されてから日が浅いですが、その可能性は非常に高く、今後の研究開発が進めば、さまざまな用途での活用が期待できる。

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