「不動産投資」事前の物件確認は必須――見逃してはいけないポイント

失敗しないマンション投資で欠かせないこと、それはやはり物件の確認だ。それは単に内見するだけではなく、マンション全体、その物件のある街……そのチェックポイントは?

齋藤岳志2023/11/09

不動産投資は人を相手にしたアナログな「投資」

不動産投資は、クリック1つで取引が完結する株式投資などと異なり、良くも悪くも手間暇のかかるアナログな投資であり、大家業なのです。言い換えれば、市場を相手にするのではなく、生身の人間を相手にするサービス業だと考えています。

現地まで足を運んで物件を見るというのは、時間もかかるので、やりたがらない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、アナログな人間相手のビジネスである以上、お客さまにあたる入居者と同じ目線に立ち、同じ感覚を共有できなくては、長期的には利益を生み出す物件選びはできません。

それには時間はかかり、大変に感じる部分もあります。それを大変といとわずに、「知らない街の散歩が出来て楽しいなぁ」というような、街歩きをするような感覚で、現地に足を運び、物件はもとより、駅、街の雰囲気を感じ、自分の目で見ることは、失敗しない物件選びの大切なプロセスです。

行ってみてわかった「アブナイ」物件

ネットで見つけて興味を持った物件を、不動産会社に問い合わせる前に、現地を見に行った時の出来事です。

そのマンションは、東側と西側、両方が道路に面していました。つまり、東向き、西向き、それぞれ部屋がある物件です。
投資物件を選ぶときは、あまり方位にはこだわらないのですが、通行量の多い大通りに面している、電車の線路に面しているといった場合などは、どっち向きか、ということを気にします。

借りて下さる方のことを想うと、大通りや線路に面していない側の方が、静かな住環境をご提供できると思うからです。

部屋位置を知りたかった私は、管理人さんに
「●●号室は、どっち側になりますか?」
と尋ねました。
さらに、「今、●●号室が売りに出ていて、どんな場所か知りたくて見に来たのですが、管理されていて、大変なことってありますか?」など、話を続けました。

すると、少しずつ心を開いてくれた管理人さんから「私だったら、このマンションを買うことは勧めないよ」という言葉が出てきました。

「ごみ捨ての分別がなっていない。マナーが悪い」
「水商売(ヘルス)を無許可でやっている部屋がある」
「目が合ってもあいさつをせず、素通りするような人が多い」など、次から次へと出るわ、出るわ、愚痴のオンパレードでした(笑)

ネットで見た情報だけでは、間取りや設備、価格などが魅力的に見え、興味がわいたのですが、現場のリアルな声を聞いた途端、一気にその気持ちが失せました。
まさに現場で起きていることを知れたからこそ、未然に防ぐことができた一例です。

いかがでしょう。あなたは物件の現地を見ずに買いますか?
現地に一度は足を運んで、実際に雰囲気などを見てから買いますか?

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この記事を書いた人

齋藤岳志

齋藤岳志CFP ・FPオフィス ケセラセラ横浜代表

1977年横浜市生まれ。2001年上智大学文学部哲学科卒。
百貨店、税理士事務所、経営コンサルティング会社への勤務を経て、2013年FPオフィス ケセラセラ横浜を開設。信用取引や商品先物取引、投資信託、FXなど投資という名の付くものは すべて経験し、その中で自身に一番合った大家業を2007年にスタート。 不動産投資に関するアドバイスを中心とした ファイナンシャルプランナーとして活動中.。著作に『FP大家だけが知っている資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由』(合同フォレスト)、『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか? インフレ到来で「貯めているだけ」は危険』(現代書林)がある。エフエム戸塚「戸塚井戸端会議。」レギュラー出演中。

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