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NISAだけでは足りない?「増やす・守る・使う」お金の三分類整理術

老後のお金というと、NISAやiDeCoの「増やす」だけに目を向いて「守る」という視点が抜け落ちてしまいがちだ。しかし、お金には「増やす・守る・使う」という3つの役割があり、それぞれに適した置き場所がある。この3つを整理するだけで、ただ増やすだけでない何にお金が必要かの目的も見えてくる

古川愛弓2026/05/08

「守るお金」を担う商品の役割と注意点

■預貯金
流動性が高く安全性は高いですが、インフレ局面では実質的な購買力が目減りします。生活防衛資金(使うお金)はここに置きつつ、老後資金をすべて預金に頼ることのリスクは意識しておく必要があります。

■保険
保険の本質的な役割は、お金を増やすことではなく「人生を守ること」です。
生命保険(定期・終身):万一の際の遺族保障。子育て世代であれば、子どもの夢を守るお金。終身保険は相続対策にも活用できます。

医療保険・がん保険(三大疾病・八大疾病):入院や治療費の自己負担を軽減。民間保険は公的健康保険を補完する位置づけです。

個人介護保険:要介護状態となった場合の費用に備える保険。生命保険文化センターの試算では、介護費用の平均総額は約542万円。公的介護保険だけでは賄いきれないケースもあります。

個人年金保険:老後の収入を補完するための保険。確定年金・終身年金など受取方式によって特徴が異なります。金利が戻ってきたことから、今後はチェックしておきたいところです。

変額保険(現在):保険料の一部を株式・債券などで運用し、死亡保険金・解約返戻金が運用実績に応じて変動する保険です。運用益が非課税で再投資される点や保険保障と資産形成を同時に行える点が特長で、現在は保険会社の運用リスク管理も厳格化されており、適切に活用すれば有効な手段です。

ただし、ここで歴史を振り返ることが重要です。バブル期、変額保険は相続税対策として富裕層を中心に大量販売されました。しかし株価・地価の暴落により運用が悪化し、「追加保険料を払わなければ失効する」という通知が契約者のもとに届く事態が続出しました。銀行がローンを組ませて加入させる「バンクローン変額保険」スキームでは、相場崩壊後に追加請求が直撃し、訴訟に発展するケースも相次ぎました。保険を「増やすもの」として使った結果、守るはずの資産が逆に脅かされた歴史的な教訓です。現在の変額保険はこれらの反省を踏まえて制度・規制が整備されていますが、商品の仕組みとリスクを十分に理解したうえで加入することが不可欠です。

損害保険(個人賠償・火災・地震):日常の賠償リスク、住まいへの災害リスクに備える保険です。個人賠償責任保険は、自転車事故や日常の過失による賠償を幅広くカバーします。火災保険・地震保険は、住宅という最大の資産を守る保険として必須です。特に地震保険は火災保険とセットでしか加入できず、補償は損害の30~50%に限られますので、補償内容をしっかり確認してください。

■証券(投資)
株式・投資信託・債券などによる資産形成です。NISAの恒久化・拡充により、長期・積立・分散投資のための環境は格段に整いました。ただし元本保証はなく、短期的な相場変動に動じない「長期目線」が必要です。iDeCoは掛金が全額所得控除となるため、特に現役世代の節税効果が高い制度です。資産運用は「余裕資金」で行うことが大原則です。

■住宅ローン
意外と見落とされがちですが、住宅ローンもお金の守り方と密接に関わります。
繰り上げ返済か、ローンを残して運用するかという問いに対する答えは、適用金利と期待運用リターンの差で判断することが基本です。

変動金利が低水準の間は、運用利回りがローン金利を上回る可能性があるため、必ずしも早期完済が最善ではない場合もあります。一方、金利上昇局面では返済額が増えるリスクがあります。2024年以降、日銀の政策金利引き上げにより変動金利にも上昇圧力がかかっています。自分の金利タイプと残債、手元流動性のバランスを踏まえた判断が必要です。また、住宅ローンには団体信用生命保険(団信)が付いており、債務者が死亡・高度障害となった場合にローンが完済される仕組みがあることも、守るお金として理解しておいてください。

住宅ローンで注意が必要なのは、ローンをなくそうと繰り上げ返済をすることで、手元の資金が少なくなってしまい、いざというときにお金がないということがおきかねないということです。繰り上げ返済をする際は、こうしたことも考慮してください。

お金の話というと、どうしても数字の議論になりがちです。しかし本来は、「どんな人生を生きたいか」という問いから始めると、わかりすくなると思います。
お金を整えることは、人生を縛ることではありません。むしろ、選択肢を広げ、日々をより軽やかにしてくれるものです。
「お金が整うと、人生はもっと自由になる」
それが、私がこれまで多くの方の人生設計に関わってきた中で、確信していることです。

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この記事を書いた人

古川愛弓

古川愛弓つなぎひと

家族の死を機に保険業へ転身。保険のみでは防げないリスクを「セブンポケッツ(多角的な収入と人脈)」の積み立てで補う重要性を学修。心とお金を優しく整える「つなぎひと」として、経営者交流やパルフェの会を主宰。単に「お金の積立」に留まらず、人と情報の繋がりを資産に変え、愛が広がる豊かな未来をデザインするサポートを行っている。

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