1978年生まれ。埼玉大学経済学部卒業後、国内大手金融機関、外資系金融機関勤務を経て独立し、株式会社ライフサポートを設立。25年以上の株式投資経験を活かし、徹底的に企業の決算短信を読み込み、チャート分析からはわからない経済分析、個別企業分析をYouTube「カブアカちゃんねる」で展開。全決算を最速分析しているnote『カブアカマガジン』を日々更新中。
180度転換した農業政策
インフレによって日本の税収は過去最高を更新していますが、政府が「分配」を掲げる以上、金融所得層への負担増の可能性は常に意識しておく必要があります。投資家にとっては心理的な重しとなり、上値を抑える要因になりそうです。
とはいっても、市場全体が弱いわけではありません。むしろ堅調な企業業績を背景に、テーマごとの循環がはっきりしてきました。
これまでAI関連が突出していた分、今後はコモディティ、農業、地方インフラ、そして金融など、政策に直結する分野への資金シフトが進む可能性があるように思います。また、ここ数年来堅調だった防衛も防衛費増額のニュースが頻繁に出ており、ここもまだまだ狙えると考えます。AI,半導体の陰に隠れて最近押し目となってきているIP関連も今後のねらい目として注目できます。
私が特に注目しているのは農業です。これまでの石破内閣の方針転換がはっきりしています。
鈴木憲和農水相が就任早々に「備蓄米は価格が高騰したときではなく、不足したときに放出する」「価格はマーケットの中で決まるべきだ」と小泉進次郎氏が農水相が就任前の政策にもどったようです。そして、2026年産コメの生産量を、2025年の747万トンから、目安を711万トンと減産する方針が打ち出されました。これも農産物価格の見直しを通じて地方経済を底上げしようという意図が見えます。

木徳神糧(2700)は、今回のコメ不足で1000円から一時6500円まで急騰。その後、4500円前後に調整していましたが、政策転換を背景に再上昇の期待を持てると考えます。
コメ銘柄としては、出遅れている銘柄もたくさんあります。具体的にはサトウ食品(2923)、ヤマタネ(9305)、わらべや日洋HD(2918)など、堅実な業績を持ちながら株価が割安に放置されています。個人的にはコメ関連は長期的にな“お宝セクター”ではないかと思っています。
金利をめぐる政府と日銀の思惑と銀行株
一方、高市政権の金融政策に目を向けると、高市首相は経済安全保障相当時の2024年「今、金利を上げるのはあほやと思う」と発言。片山財務相の就任直後の「2024年7月の利上げ後の株価急落のトラウマもあって、日銀は金利引き上げの慎重になっています。結局、10月末の日銀金融政策決定会合では、金利引き上げが見送られました。こうした利上げが先送りされる局面では、銀行株の“仕込み時期”と言えるでしょう。
特に地方銀行は金利の影響を受けやすく、業績格差が鮮明です。群馬銀行(8334)、ほくほくフィナンシャル(8377)、宮崎銀行(8393)、CCIグループ(7381)などは業績の伸びが目立ちます。SBIグループが主導する地銀再編の流れもあり、今後の地方銀行株には注目しています。
※本稿は、投資における情報提供を目的としたものです。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。










