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『カブアカ』古賀真人の実践投資講座6 高市内閣でローテーション相場に、狙いはコメと銀行株

高市トレードも市場は一服?――政策から読み解く狙いの次のセクターは「コメ」と「銀行」なワケ

古賀真人2025/11/10

『カブアカ』古賀真人の実践投資講座6 高市内閣でローテーション相場に、狙いはコメと銀行株
  • 高市内閣発足で「高市トレード」の熱気が一服し、市場はセクター交代の兆し
  • 政策は大企業優遇から地方・庶民支援へ転換、金融課税見直しも意識される
  • 新政策で注目は「コメ」と「銀行」――農業・金融セクターが次の主役に

高市内閣誕生の高市トレードの熱気に流された市場

高市内閣が誕生後2週間、日経平均は連日最高値を更新し5万2000円の大台に乗せました。しかし、2週間目にあたる11月5日には一時2400円超下げ5万台を割り込む場面もありました。これは米国市場のハイテク株への警戒感によるもののようですが、「高市トレード」の熱気はまだまだ続くと考えます。しかしながら、これまでの上昇セクターから他のセクターへのローテーションも視野に入れるべきではないだろうかと考えます。今後の市場市場全体は依然として堅調で、私は調整が来ても上を見ております。

この1年を牽引してきたのは、ソフトバンクグループ、アドバンテスト、キオクシアなどのAI・半導体関連で、生成AIブームを背景に株価は上昇を続けましたが、足元では利確の動きが強まっています。
私自身はハイテク・半導体に乗り遅れてしまい、手を出せませんでしたが、5日に株価を押し上げてきたソフトバンク(9984)やアドバンテスト(6857)大幅に下げたため、手を出さなかったのは結果オーライでした。

このほかにも安全資産として見られていたゴールドがとんでもない上昇を見せ、それに伴い急騰していた純金信託などコモディティ市場も一時的な調整局面に入り、三菱UFJ信託銀行が「高値づかみに注意」と警鐘を鳴らすほどの過熱ぶりでした。しかし、この5日の下げで投資家心理としては、いったん冷静さが戻り、また市場が動き出すと思います。

高市内閣が市場のもたらすものとは?

こうした高市内閣のこれからの市場動向はどうなるかを考えるにあたって、発足直後の投資家の@cisさんのX(旧Twitter)の発言が示唆に富んでいるいたように思います。
その書き込みは次のような内容です。

「物価高対策と地方の赤字企業補助やって財務健全化も目指すなら大企業優遇はかなり無くなりそう。安倍ぐらい円をぶっ壊して大企業と資本家超優遇しないと政策だけでこれ以上日経独歩高は厳しいと思う。全体の幸福度という意味では良いのかもしれないが」

高市内閣では、物価高対策や地方の赤字企業支援を重視する一方で、財務健全化を目指す政策では大企業優遇が後退するという見方です。
つまり、財政出動しながらも一般庶民への補助に目を向けた政策をし、格差縮小を狙う策という指摘です。これは、「一般庶民の幸福度は上がるが、株価は上がらない」という指摘です。

高市内閣の目玉大臣である片山さつき財務相には「租税特別措置・補助金見直し担当」という役職までついています。
そして、高市首相は以前から金融所得課税の見直しに言及しており、自民党内からも「ガソリン減税の財源を株式のもうけに課税する形で補う案」が浮上しています。過去の菅、岸田、石破の3人も首相就任前には金融取得課税について発言していました、首相就任後はトーンダウン。いずれも実現しませんでした。高市内閣も同じようにここに踏み込むことはない、とは思いますが、こうした話題が出るだけで市場を冷やす要因になるので、今後もナーバスに見ていきたい部分です。

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この記事を書いた人

古賀真人

古賀真人個人投資家、経済アナリスト、会社経営者、投資系YouTuber

1978年生まれ。埼玉大学経済学部卒業後、国内大手金融機関、外資系金融機関勤務を経て独立し、株式会社ライフサポートを設立。25年以上の株式投資経験を活かし、徹底的に企業の決算短信を読み込み、チャート分析からはわからない経済分析、個別企業分析をYouTube「カブアカちゃんねる」で展開。全決算を最速分析しているnote『カブアカマガジン』を日々更新中。

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