1978年生まれ。埼玉大学経済学部卒業後、国内大手金融機関、外資系金融機関勤務を経て独立し、株式会社ライフサポートを設立。25年以上の株式投資経験を活かし、徹底的に企業の決算短信を読み込み、チャート分析からはわからない経済分析、個別企業分析をYouTube「カブアカちゃんねる」で展開。全決算を最速分析しているnote『カブアカマガジン』を日々更新中。
下方修正、即、投資対象外とはならない
決算書と同様に、企業の株価に直結するものが上方修正や下方修正です。
企業は本決算発表後、翌期の業績予想を発表しますが、売上高が10%以上、営業利益・経常利益・当期純利益のいずれかが±30%以上予想値と差があれば、それが分かった時点で上方・下方修正を公表する必要があります。
当然のことですが、上方修正は株価にプラス、下方修正は株価にマイナスとなるわけですが、必ずしもそうとは言い切れない場合があります。
中でも下方修正は、その背景をしっかり見極めることでプラスとして捉えることもあります。
その典型的な例は、ペット保険最大手のアニコム(8715)でした。ペット保険は犬猫の数が子どもの数を上回る中で各社が参入してきました。しかし、すべてがうまくいくわけではなく、2024年にはアクサ損保が新規の保険販売を終了。アフラックも撤退を発表しています。
このうちアクサ損保は、既存契約をアニコムへと切り替えを進めました。アニコムはこの移管コストの発生によって、経常利益が40.7%減となり、下方修正を発表しました。
単に下方修正だけを捉えれば、マイナス要因に映ります。しかし、保険は継続性の高い商品です。一時的に利益がマイナスになったとしても、全体的な契約数は増えることになり、将来的にはプラスになります。ですから、この下方修正はプラスと判断できるのです。

ここまで過去の事例を元に決算書などから、私がその企業の将来像を想像しているかについて話をしてきました。
そこで今、私がもっとも懸念していることはアメリカの動向です。
それはトランプ大統領によって、アメリカはこれまでのアメリカではなくなってしまっているからです。
その典型例が、アメリカ政府によるインテル株の取得でした。これまでのアメリカであれば、大企業に手を差し伸べるということはなかったはずです。これをやってしまえば、挑戦者であるベンチャーの芽を摘み取りかねません。こうしたベンチャー企業が多く生まれてきたことがアメリカの強さであり、アメリカ経済を支えてきたアメリカンスピリッツだったはずです。その根本が大きく変わりつつあると感じているからです。
10月28日には、そのトランプ大統領が来日します。それに対峙するのが高市新首相であり、トランプ大統領と絶大な信頼関係を築いてきた安倍元総理の後継者ということで、アメリカと良好な関係を築いていってくれるものと期待しています。この首脳会談の方向性によって、また投資のチャンスが生まれるのではないかと注目しています。
東京市場の株価は上昇を続けていますが、高市新政権の与野党の枠組みは混沌としており、そんな高市政権の外交姿勢もわかりません。「投資は知の格闘技」といわれますが、まさに森羅万象の出来事・情報を幅広く集め、考え抜くことが、今、必要とされています。
■古賀真人『カブアカマガジン』
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※本稿は、投資における情報提供を目的としたものです。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。