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『カブアカ』古賀真人の実践投資講座5 株式投資は「森羅万象」を読む力が重要だ

政治も為替も予測不能――だからこそ、投資家はファンダメンタルとチャートの両面から相場を読み解く。情報と企業の分析から見える、考える投資術とは

古賀真人2025/10/08

決算書の奥の奥を読みとく

株価が動かなかった銘柄としてはコニカミノルタ(4902)もその1つです。同社の第1四半期決算短信の決算書をよく見ると、違った一面が見えてきます。
同社の株価の推移を見ると、決算発表の翌日である8月1日の株価は542円まで一気に上がり、その後一気に下落しています。テクニカル分析をしている人であれば、たぶんここは損切りとなるところでしょう。
しかし、当時、私はコニカミノルタを有力銘柄として見ていました。
私が運営している『カブアカ』でのコニカミノルタの短信の評価は、下の画像のようなものでした。

表の色分けは、ピンクがポジティブ、黄色が中立、ブルーがネガティブで、太字が強調になります。そこでは、2025年3月期決算ではネガティブ/太字から、26年3月期の第1四半期の短信では一気にポジティブ/太字となり、注目銘柄にしています。

その理由は、同社の2020年の短信は、主力事業であった複合機や印刷の需要が減少し、コロナ禍によって販売サプライチェーンの停滞、医療機器・ヘルスケア事業の不振に苦しみ、経常赤字という内容でした。
そんな中で出された23年からの中期経営計画では、事業の選択と集中を行い、売れない事業を切っていくという会社の構造改革を実行するとうたっていました。そして、この中経の最終年度にあたる25年の決算は、剰余金は減少したものの、借入は一定という内容だったためネガティブとしました。

しかし、26年3月期の第1四半期では、借入が一定のままで剰余金が大幅に増えたことで、23年の中経を達成したと判断。さらに販管費・一般管理費も減少し、アメリカの相互関税に関わる影響については「非常に軽微」と発表していました。
この短信内容から、黒字転換し事業の構造改革も一通り終わり、新たな事業展開に移るであろうというのが、私が描いた今後のストーリーで見方もポジティブとしました。

さらにこれは私の希望的観測ですが、こうした事業転換の成功事例として富士フイルムがあること。また、競合大手のキヤノンも複合機から医療分野への事業転換を模索していることから、「自分たちならもっと成功させられる」とコニカミノルタ自身が考えていてもおかしくないだろいう思ったのです。
加えて将来的にはコニカミノルタのTOBなどにも視野にいれているのはないかとという勝手な妄想も浮かびました。

最終的にはPERは10.7倍、PBRは0.5倍と極めてリスクの低い銘柄に変わったことから、「金ピカ決算書」の銘柄として投資に値すると私は判断したのです。

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この記事を書いた人

古賀真人

古賀真人個人投資家、経済アナリスト、会社経営者、投資系YouTuber

1978年生まれ。埼玉大学経済学部卒業後、国内大手金融機関、外資系金融機関勤務を経て独立し、株式会社ライフサポートを設立。25年以上の株式投資経験を活かし、徹底的に企業の決算短信を読み込み、チャート分析からはわからない経済分析、個別企業分析をYouTube「カブアカちゃんねる」で展開。全決算を最速分析しているnote『カブアカマガジン』を日々更新中。

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