北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。

②胃や腎の虚弱タイプ――加齢にともなう胃腸機能の低下
【要因】虚弱体質、高齢に伴う胃腸機能の低下により内容物が長時間にわたり大腸内に停滞して便が乾燥して便秘となります。
【対策】胃の機能を高め、さらに腸を潤すなどにより便通を整えます。
麻子仁丸(マシニンガン)
【主な症状】高齢・虚弱体質・産後などで便がコロコロしている、便が硬く排便しにくい常習性便秘、頭重、頭痛、のぼせ、しっしん、吹き出物、食欲不振、腹部膨満感、ガスが多い、痔
【効果】胃の機能を助け、腸の蠕動運動を助けながら、腸を潤して無理のない排便を整えます。
【成分の効能】麻子仁(マシニン)と桃仁(トウニン)で腸を潤し、大黄で蠕動運動を活発化し排便を促し、芍薬(シャクヤク)は腸の痙攣を緩和、枳実(キジツ)・厚朴(コウボク)は腸内の巡りを整えることで腹部の膨満感を改善します。
桂枝加芍薬湯(ケイシカシャクヤクトウ)
【主な症状】胃腸が弱い、腹部膨満感、お腹が痛くなりやすい、下痢と便秘を交互に繰り返す(過敏性腸症候群)、便意を催すのに少ししか排便できない、ストレスを感じやすい
【効果】腹部を温めながら気血のバランスを整え、正常な便通へと導きます。
【成分の効能】桂枝(ケイシ)はからだを温めながら血行促進、芍薬は筋肉の緊張和らげることで痛みを去り、大棗(タウソウ)、生姜(ショウキョウ)、甘草で胃腸の機能を高め気血の巡りを整えることで便通を改善させるので下剤の生薬は含まれません。
③胃腸のエネルギー不足タイプ――ストレス、デスクワーク
【要因】精神的なストレスや長時間の座位での仕事により胃腸の働きが停滞して便秘になる、ガスが貯まる、過敏性腸症候群の便秘はこのタイプが多く見うけられます。
【対策】大黄を中心とした漢方薬を用います。
大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)
【主な症状】常習便秘、慢性便秘の基本処方、吐き気、胃痛を伴うこともあります
【効果】大腸粘膜を刺激して蠕動運動を亢進し、一方で腸管内の水分を保持してバランスをとりながら便通を整えます。緩やかな効果のため虚証から実証まで幅広く応用できます。
【成分の効能】大黄と甘草の二つの生薬で構成され、大黄は瀉下作用と同時に腸管を痙攣収縮させる作用があり、甘草はその痙攣を緩和し大黄の強い瀉下作用を調整することでバランスよく便通効果を発揮します。
桂枝加芍薬大黄湯(ケイシカシャクヤクダイオウトウ)
【主な症状】比較的体力はなく、腹痛や腹部膨満感を伴う便秘、便意があるのにうまく排便できない、ストレスによる痙攣性の便秘
【効果】気血を温めながら、巡らせ、停滞している便を排泄させます。
【成分の効能】桂枝加芍薬湯に腸の蠕動運動を促す大黄が加わることですっきりとした便通効果が得られます。










