【めまい】季節の変わり目、環境の変化には要注意! 症状と体質を考慮したアプローチ方法

季節の変わり目に起きがちな「めまい」。原因にアプローチした漢方の活用法。

斉藤明美2025/04/25

のぼせ、ストレス・不安(気逆)からくるめまい

過度なストレスや不安・緊張感、怒りなどが続くと、自律神経の働きが乱れるので気(からだを動かすエネルギー)の流れが悪くなり、体内で熱が過剰になります。その熱によって気が上に突きあがると気逆という状態になりめまいの原因となります。めまい、ふらつきと共に、顔のほてりや頭痛、不眠や動悸を伴うこともあります。気をスムーズに巡らせる漢方薬を用います。

*加味逍遥散(カミショウヨウサン)


【主な症状】イライラ、のぼせ、頭痛、眼精疲労、精神不安、疲れやすいなど様々な症状が日々変わる人のめまい
【特徴】自律神経や感情の起伏を支配調整する働きが低下しているために気や血が不足して、血の巡りが低下することで、めまいが生じます。
女性の更年期症状の代表処方ですが男性の更年期にも用います。
【成分の効能】肝(感情を司る)と脾(胃の働き)のバランスを整える逍遥散には自律神経を整える柴胡(サイコ)が含まれ、更に熱をさます牡丹皮(ボタンピ)、山梔子(サンシシ)が加わった処方で気血水をバランスよく巡らせます。

*黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)
【主な症状】体力があり、のぼせによる脳の充血や血圧上昇によって起こるめまい
顔色が赤く、のぼせ、イライラ、不眠、高血圧傾向、目の充血を伴うこともあります、
【特徴】からだに熱はこもることが原因で起こる症状に効果のある代表的な処方です。
【成分の効能】黄連(オウレン)、黄芩(オウゴン)、黄柏(オウバク)で体の熱を冷まし、山梔子がその熱を膀胱に集めて尿へと排出することで諸症状を改善します。

*釣藤散(チョウトウサン)
【主な症状】胃腸が虚弱で、ストレスによる自律神経失調症、のぼせや頭痛、高血圧傾向のめまい
目の充血や肩こり、耳鳴り、足の冷えを伴うこともあります。
【特徴】朝方や目覚めた時に症状がでやすい、気が上昇してイライラしやすく、水の巡りが滞る傾向のある方に有効です。
【成分の効能】主薬の釣藤鈎(チョウトウコウ)は鎮静・降圧効果があり、陳皮や茯苓で胃の働きを整え、菊花(キクカ)や石膏(セッコウ)が体に溜まった熱を冷ますことで症状を改善します。

めまいを防ぐのワンポイントアドバイス

1.ライフスタイルで気をつけること
*日頃から水分は少量をこまめに摂る
*冷えには十分に注意し、特に腹部を冷やさない工夫をする
*適度な運動などによるストレス発散や十分な睡眠を心がける

2.食生活での工夫
*水の巡りを改善する食材は、はと麦、小豆、トウモロコシ、冬瓜など
*水分代謝をコントロールする「腎を」補う食材は、黒ゴマ、黒豆、昆布、のり、ひじきなど
*消化機能を高める食材は山芋、大豆、穀類など
*気の巡りを整える食材はセロリ、春菊、三つ葉などの香味野菜
などを積極的に摂り入れる。

ライフスタイルを見直し、不足している食材を摂取するなどして「めまい」を上手に乗り切りましょう。

次回は、「気持ちの落ち込み・うつ」について漢方薬を紹介します。

『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』斉藤明美 著
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この記事を書いた人

斉藤明美

斉藤明美薬剤師・医学博士

北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。

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