【粗製濫造】「経営コンサルタント」ついに始まった淘汰の波

経営者の強い味方になる経営コンサルタント。そんなコンサルタントに淘汰の波か押し寄せている。本当に必要な経営コンサルタント、頼りになるコンサルタントをどう見極めればよいか。

立川昭吾2024/10/04

【粗製濫造】「経営コンサルタント」ついに始まった淘汰の波
  • 多種多様化するコンサルタントの市場規模は2兆円にまで拡張している
  • 日本には「本当の経営コンサルができるか、できていないかを計る基準」がない
  • コンサルタントに必要なのは「化かす能力」「サル知恵」「タレント性」

コロナ後のいまは戦後の混乱期と同じ

いまはまさに経営コンサルタント企業や、コンサルタントが花ざかりです。ところが、コンサルタントといってもピンからキリまでいて、粗製濫造の状態です。こうなると誰が、どんな会社が本物のコンサルタントをできるかわからず、同時に自然淘汰もはじまっています。

コロナ禍の困難が終了してみると、すでに多くの市場が成熟期になっています。
私が皆さんによく話してるのは「コロナ後のいまはコロナ禍を経て、コロナ前につながる延長と取られている人が多いけれど、いまはまったく次元の違う時代になっている」ということです。

いわばコロナ後のいまは、第2次世界大戦が終わった終戦後のような時代なのです。
終戦後の4年間、日本は新憲法が発布、極東軍事裁判(東京裁判)などがありましたが、社会情勢は一変し国内は混乱状態にありました。こうした混乱4年を経て、1950年に朝鮮戦争による特需になります。
新型コロナのまん延は3年ちょっとで終わりましたが、この3年の混乱はまさに戦後の混乱と、コロナ明けの特需の経済環境にあります。要は、コロナ前とはまったく新しい時代になったと捉えなくては、コロナ後のビジネスには対応できません。

コンサルタント市場は2兆円規模に

コロナ前の世の中と、いまのどこが変わったかというと、もっとも大きく変わったのが金利がある世の中になったことです。これはインフレのラッパを日銀が吹き始めということです。

日銀のゼロ金利政策は、1999年2月に日銀の短期金利の指標である無担保コール翌日物の金利を0.15 %に誘導することを決定し、当時の速水優日銀総裁の「ゼロでもよい」と発言から始まりました。その後、2016年1月に黒田東彦日銀総裁による「異次元のマイナス金利政策」と、トータル25年、四半世紀にわたって日本は金利のない世の中が続いてきました。
しかし、この金利が引き上げられます。いまの経営トップやビジネスマンのほとんどは金利のある世の中を知らないといっても過言ではないでしょう。こうした時代の大きな転換が起これば、経営者はこれにどう対応したらよいか、非常に悩みます。

さらにこの数年、企業戦略、マーケティング、セキュリティ、もの作り、人事DX、M&A、事業再生、事業承継、社会保険など経営環境も変わりました。
経営者が何から、どのように手をつけたらよいかを悩むなか、社内には対応できる人材がいない。そこで経営者がこれに対応するために専門的な知識が必要だと、さまざまな経営コンサルタントを頼るようになりコンサルタント事業の需要が増えたわけです。
そして、さまざまなアドバイスを行うコンサルタントが大量に出てきて、コンサルタント百花繚乱の時代になりました。
この結果、この1年でコンサルタント業の売上規模は2兆円というコンサルタント業界にとっては初めての大きな市場になりました。

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この記事を書いた人

立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

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