【粗製濫造】「経営コンサルタント」ついに始まった淘汰の波

経営者の強い味方になる経営コンサルタント。そんなコンサルタントに淘汰の波か押し寄せている。本当に必要な経営コンサルタント、頼りになるコンサルタントをどう見極めればよいか。

立川昭吾2024/10/04

コンサルタントに求められる3つの要素

いま、コンサルタントをやりたという若い人が増えています。これ自体はとてもよいことだ 思っています。
私自身、大学でコンサルタントの授業を行っていますが、優秀な学生も多い。そこでコンサルタント志望の学生たちに、コンサルタントにとって一番大事なのは、話し方と訴え方が重要だと話しています。そして、よいコンサルタントは突き詰めると、3つの要素になると話しています。

それは「コンサルタント」の「コン」は「キツネ」、「サル」は「猿」、「タント」は「タレント」ということで、この3つの要素がない人はコンサルタントになってはいけないといっています。

「コン=キツネ」とは「化かす能力があるか」ということで、いまあるものをそのままやっていたのではどうにもなりません。そこでそれを変えることでまったく違ったものにする。
そのためには「知恵」が必要で、それが「猿=サル知恵」になります。当然ですが、他人と違うこと、教科書や本を写してはよいコンサルタントはいえず、自分の魂を入れられるかが重要です。
タントの「タレント」は、タレントのように誰にでも理解できるように話すということができるかということ。これは難しいことを難しく話す人はたくさんいますが 、簡単に話せる人は少ない。つまり、わかりやすく話せるかということです。

たとえば「南無阿弥陀仏」という念仏を英語にしたどう訳すか。
答えは「Attention, please Amitabha」となります。「南無」は「Attention, please」で、直訳すれば「阿弥陀さま、聞いてください」になる。
こういう言い方をすれば、何となくではありますが「南無阿弥陀仏」に込められる意味や雰囲気までも伝わりやすくなります。このように難しいことをわかりやすく伝える能力がコンサルタントには必要で、相手に伝わらなければ、コンサルの意味がまったくありません。

コンサルタント選びで失敗しないために

私自身、30年間このポリシーでコンサルタントをやってきました。これまで約4200社ぐらいの会社の相談にのり、2000社とコンサルタント契約を結んできています。そこから3社が上場を果たしました。

ただ、こうした経験から最近、強く感じるのは、世の中が本当に変わったということです。
昔から財務は重要でしたが、 相談内容は社員の給与、税務相談、資金繰りが多かった。しかし、いまはどんな中小企業でも決算書を見ながらの企業価値やリスクなどを精査するするデューデリジェンスの相談が増えています。
いまのビジネスでは、これがとても重要で、デューデリジェンスを行うには訓練が必要です。

今後もコンサルタンは必要とされることに変わりはありません。しかし、その企業や社長に合った人で、まさにホームドクターのような人でなければ、これからのコンサルタントは務まらないでしょう。

有名な大学の出身、大手のコンサルタント会社にいたから大丈夫という発想は非常にリスクが高い。実際、魂が入ってないコンサルタントも多くいます。
これからコンサルタントを活用する際にはこのことを間違わずに、慎重に考えていただければと思っています。

立川昭吾の企業再生チャンネル「【粗製濫造】こうして顧客は去っていった・・・。「経営コンサルタント企業」コ」より

1 2 3

この記事を書いた人

立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

  • WEB

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています