耐用年数を迎えるシリコン系太陽電池
従来型のシリコン系の太陽電地のおよそ8割は中国製が占めている。また、2009年に始まったFIT(固定価格買取制度)を活用し、東日本大震災後に広がった住宅用の10~15kWの小規模なシステムは、FIT期間が終了を迎える。
加えて、シリコン系太陽光電地の耐用年数は20~30年とされるが、太陽電地の出力劣化が進むと同時に、心臓部であるパワーコンディショナは、15年が耐用年数とされ入れ替えが必要になってくる。
ほかにもメガソーラーシステムにおいても、2024年には鹿児島県、宮城県で相次いで火災、爆発事故が発生。経年劣化による事故も心配されている。

今回の屋上・空港での実験は、こうした太陽電地の市場動向も踏まえた装置の交換性・施工性・発電効率・安全性・耐候性などを多角的に評価し、技術成熟度を高めるステップとされる。
大林組では、今回の実験をビルや工場、一般建築など各種インフラ構造物に展開する方針。一方、積水化学も空港での検証結果を踏まえ、鉄道駅舎や防音壁、商業施設や港湾施設への導入を想定している。

フィルム型のペロブスカイト太陽電池は軽量で柔軟、かつ薄型で、屋上設置や空港、インフラ施設など用途・設置環境に左右されることは少ない。
今後は耐久性・大面積展開・コスト競争力という最終段階に向けた技術検証が求められるだろう。社会インフラや建築分野における実装が進めば、ペロブスカイト太陽電池は2050年の脱炭素社会を支える主力電源の一翼を担う存在となる可能性が大きい。