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家賃高騰をちょっとでも取り戻す 仲介手数料の半額ルールと退去時の家賃、現状回復の落とし穴

賃貸をめぐる費用トラブルは、契約時の仲介手数料から退去後の原状回復まで多岐にわたる。宅建業法と消費者契約法を知っているかどうかで、借主が払うべきでない費用を払わされるか否かが決まる

大谷昭二2026/03/23

家賃高騰をちょっとでも取り戻す 仲介手数料の半額ルールと退去時の家賃、現状回復の落とし穴
  • 仲介手数料の上限は家賃1カ月分。事前承諾なしの請求は半額超を断れる
  • 契約終了後の家賃支払い義務はない。修繕期間中の請求は法律上認められない
  • 入居時の原状回復承諾書は消費者契約法で無効になる可能性がある

仲介手数料「1カ月分」の請求は本当に正しいのか

賃貸物件を借りるとき、多くの人が何の疑いも持たずに「仲介手数料・家賃1カ月分プラス消費税」を支払っている。しかし、これが法律の実態と異なることを知っている人は少ない。

宅建業法第46条および建設省告示1552第3では、賃貸借契約の媒介において業者が一方から受け取れる報酬の上限は家賃1カ月分プラス消費税だ。しかし、告示の後段には、居住用建物の賃貸借において「依頼者の一方から受けることのできる金額は、事前に承諾を得ている場合を除き、借賃の2分の1以内」とする重要な規定がある。

つまり業者は、借主から事前に「1カ月分を支払う」という承諾を取り付けていない限り、家賃の半額プラス消費税を超える手数料を請求できないのだ。にもかかわらず、現実には事前承諾なしに1カ月分を請求する業者が大多数を占めているのが実態だ。
中には手数料額が家賃1カ月分を超えているということもあり、これば明らかな宅建業法違反になる。もちろん、「事前承諾をしていない」のであれば、半額を超えた分については支払い義務がない。契約の際は、落ち着いてまず自分の家賃額を確認し、請求額と照らし合わせたい。

契約終了後の「修繕期間分の家賃」請求は根拠がない

一方、退去時のトラブルも増えている。よくあるのが、原状回復の修繕費用について合意した後に「修繕期間中は他の入居者に貸せないので、その間の家賃を支払ってほしい」と家主から請求されるケースだ。

結論から言えば、この要求に応じる必要はない。家賃の支払い義務が生じるのは契約期間中に限られる。契約が終了した以上、家主とのあいだにある賃貸借関係は消滅しており、家賃が発生する根拠がない。
「修繕中は貸せない」という点は事実かもしれないが、法律の考え方では、修繕義務は借主だけが100%負うわけではなく、家主も一定の負担割合を持つ。双方に修繕の責任がある以上、修繕期間中に空室となるのは前の借主だけの責任とは言えない。
こうした家主の主張には合理性がなく、敷金からその分を差し引くことも許されない。

入居時の「原状回復承諾書」、サインしたら取り消せないのか

賃貸契約時に「原状回復のための承諾書」へのサインを求められ、退去時になって借主に不利な条項の存在に気づくケースがある。そのため承諾書に一度サインしてしまったあとに、これの撤回は難しい。

ただし、その承諾書の「効力を争う」ことは可能だ。
判例によれば、通常の原状回復義務を超えた特約が有効とされるためには次の3つの要件が必要とされる。
①特約の必要性があること
②借主が特約の意味を理解していること
③契約段階で承諾していること

家賃が特別に安い、あるいは借主に別の有利な条件があるといった合理的な理由がなければ「特約の必要性」は認められない。また「本来は家主負担の費用だが借主に負担してもらう」という十分な説明を受けていなければ、「意味を理解していた」とは言えない。

さらに、2001年4月以降に締結した契約であれば、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は無効」という規定が適用される可能性が高い。署名捺印という事実だけで承諾書の効力を認めることはできず、争えば無効の判断が下される可能性は十分にある。

仲介手数料から原状回復費用まで、賃貸における費用トラブルの多くは、借主が「知らなかった」ことで生じる。宅建業法と消費者契約法の基本的なルールを知るだけで、理不尽な請求から身を守ることができる。

賃貸住宅の家賃が上昇している中では、こうしたことをしっかりと確認して、払わなくてよいもの対してはきちんと対応すること必要だ。

この記事を書いた人

大谷昭二

大谷昭二NPO法人日本住宅性能検査協会理事長/一般社団法人空き家流通促進機構会長/元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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