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DX化に立ち後れる不動産業界(2)市川紘・ファシロ社長に聞く、不動産DXを進めるための要諦

DX化が遅れる日本の不動産業界で、現場改革を進めるベンチャーがファシロだ。提案時間8割削減、1500店舗超が導入する同社のDXは、業界構造をどう変えようとしているのか。Facilo・市川紘社長に聞く(聞き手・山下努)

山下努2026/01/07

人生設計に寄り添う不動産サービスの可能性

「不動産は人生設計の一部」と市川社長

――今後、消費者向けにアプローチできる領域として、人生設計との関わりはどう考えていますか。
「不動産は人生設計の一部です。消費者の人生設計に根差して不動産を考える視点が、今後ますます重要になるでしょう。ライフスタイルを中心に助言するFP(ファイナンシャル・プランナー)的な役割を、仲介店舗が担う余地もあると思います。時には、売り手よりも買い手、ユーザー側に振り切った視点を持つことも大切です」

コンサルティング、そしてシンクタンク的役割へ

――コンサルティング的な業務へ広がる可能性はありますか。
「当社はソフトウエアの提供が主軸ですが、顧客とその事業の成長を支援する役割を担う会社でもあります。その意味で、コンサルティング的な要素は持っています。さまざまな顧客の相談相手になれればと思っていますし、結果的にリサーチやシンクタンク的な取り組みにつながる可能性もあると考えています」

――将来の人口動態なども、データとして組み込めそうでしょうか。
「当社は都市計画そのものを行っているわけではありませんが、間接的に不動産の流動化を促進している部分はあります。自社データを掛け合わせることで、新しいサービスが生まれる可能性はあります」

――近未来の人口動態など、不動産価値を左右するデータをサービスに活用できますか。
「将来の人口動態は、大きな可能性を持つデータです。ただ、事業を立ち上げて間もないため、データの蓄積は進んでいるものの、それを活用した高度な分析はこれからです。社内にはデータ分析の技術チームがあり、将来予測を含め、今後はシンクタンク的な分野にも広がっていく可能性があります」

高騰する新築マンション価格と、購入判断の考え方

――都内では新築マンション価格が1億円を超えるケースも増えています。購入すべきでしょうか。
「新築を選ぶのも一つの考え方ですが、個人的には、今であれば新耐震基準後の中古マンションを購入し、リノベーションする選択も良いと思います。将来の資産価値を意識して購入するのも一案ですが、一方で資産価値にとらわれすぎず、永住を前提に選ぶことも否定しません。10年後の将来を考えて購入する消費者がいても良いと思います」


Profile
市川 紘 株式会社Facilo CEO/Co-Founder
リクルートに入社後、SUUMOにて営業・プロダクト・経営企画マネージャー・新規事業開発部長として従事。2016年にサンフランシスコに渡り、シリコンバレーの不動産テック企業MovotoのCFOとして勤務。同社をアメリカ第4位の不動産ポータルサイトに成長させたのに加え、新規事業として300人規模のオンライン仲介会社を立ち上げ、年間18億円の赤字の状態から黒字化に成功。2020年にはOJO LabsへのM&AによるEXITを実現。この実績を評価され、米国の「Top 100 Leaders in Real Estate and Construction」に選出された。2021年に帰国してFaciloを創業。
https://www.facilo.jp/

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この記事を書いた人

山下努

山下努経済アナリスト

不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(いずれも東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
(著者連絡先)windomaezaki@yahoo.co.jp

 

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