2024-25年リストラ実施企業 黒字でも希望退職を実施する大企業の事情

2024-25年、上場企業57社が早期・希望退職を実施し、その6割は黒字企業だった。人手不足の時代にもかかわらず「選別型リストラ」が加速…日本の大企業か抱える事情とは。

Gold beans.編集部2025/05/20

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黒字だから、リストラ…富士通、ソニー、リコー

IT業界では富士通の動きが際立つ。2022年度には3031人が早期退職に応じたが、それに加えて2024年10月には募集人数は公表していないが、国内の間接部門の幹部社員を対象とした早期退職を実施。これに関連した費用として200億円を2024年9月中間決算に計上した。富士通の磯部武司副社長CFOは「事業構造の変革のスピードがかなり早くなってきたので、いま一度、人材構成の変革のスピードも上げなければいけないという課題認識があった」と述べている。
また、ゲーム事業の売上高約4兆6700億円、営業利益は約4100億円。ゲーム事業の業績も売上高・営業利益のいずれも過去最高、5期連続の増収でわいたソニーも2024年2月には傘下のゲーム事業会社、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが同社の社員数の8%にあたる900人を削減すると発表し、人員の削減を行っている。

事務機器大手のリコーでは、全体で約2000人、うち国内で1000人の人員削減を実施。デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に伴う体制再構築の一環として、従来の事務機器ビジネスからの転換を図っている。

もちろん、経営再建の緒に就いた日産自動車のリストラは象徴的な例である。2027年度までに世界で2万人の人員削減を計画し、現在17ある工場を10に再編する方針を明らかにしている。日産の事例は販売不振、経営の立て直しがその理由だが、一方で、黒字企業による人材戦略の再構築が静かに、しかし確実に進行している点は見落とされがちだ。

今後も日本企業にとって、事業ポートフォリオの見直しや人材の再配置は避けて通れないテーマとなるだろう。人手不足ばかりが強調されているが、その一方でグローバルで戦う大企業では黒字であっても、生き残りをかけたリストラが進められているのである。

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