一級建築士、宅地建物取引士。
多くの大工棟梁を育てた工務店の三代目として育つ。家業をベースにした「地場工務店を経営する一級建築士事務所」として多様な暮らしに寄り添った家づくりを実現。「住まう人のやりたいをかたちに」を経営理念とし、家の設計から新築やリフォームの建築工事までをワンストップに取り組む家づくりに詳しい専門家。
前回に続いて呼び名のある家編です。分譲住宅、輸入住宅、二世帯住宅など、日本には「○○住宅」と呼ばれる家がたくさんあります。○○の部分にはその家の特徴を表す言葉が入っていて、一般の人でもイメージしやすくなっています。中には、ローコスト住宅や超低価格住宅など、「お買い得感」を前面に出した家もあります。そうしたキャッチーな呼び名の裏には注意点もあるので、キーワードとともにみていきます。
小林桂樹2025/06/13
58)フル装備住宅[ふるそうびじゅうたく]
住宅メーカーや住宅ビルダーが「お得でお手頃」を前面に打ち出した商品としての家。「引渡してすぐに生活できる」メリットが謳われ、販売されている。業者からのお仕着せの生活にならないように吟味する必要がある。
59)ローコスト住宅[ろーこすとじゅうたく]
「割安感」「お買得感」で、「今まではどんぶり勘定で坪50万円、60万円だったが、企業努力と合理化でローコスト化して坪30万円前後にしました」という家。家の床面積が少ない場合は割高になりやすい。最近は坪単価20万円前後の「超低価格住宅」も売られている。
60)ローコスト化[ろーこすとか]
コスト削減の方法。余計な経費を削減して、どんぶり勘定をやめて、繊細かつ大胆にコスト削減の計画を実行することで簡単に実現する。現在は、ただ「安い」だけの家があるので要注意。
61)ローコスト[ろーこすと]
「コストダウン」が叫ばれる中、いろいろな無駄を省いて、できるだけ品質や性能を維持させること。家は、1階と2階が同じ総2階建てが最も「コストダウン」がしやすい。
62)超低価格住宅[ちょうていかかくじゅうたく]
某大手住宅メーカーの「リミテッド25」が有名。当時、マイホームの「ユニクロ化」として話題を振りまいた。この家は、床面積の坪数が47坪から~49坪と大きく、「間取り」が8種類程度に限定。使われる住宅設備の選択の幅が少ない場合に坪単価が安くなる建設コストの特徴を活かした究極の「企画設計」型の家といえる。話題提供には抜群の効果があった。あなたが建てたい家の坪数が40坪の場合、「坪単価25万円だから、40坪×25万円=1000万円」と皮算用してはいけない。
63)デザイナーズ住宅[でざいなーずじゅうたく]
「建築家」と呼ばれる建築設計の専門家が「設計に凝った」他にはない家。「他とは違う」「ちょっと変わった」「個性的な」家の設計と、「デザイン性や機能性」を期待して建築士事務所に設計を依頼するケースがほとんど。「デザイナーズ住宅」を売り物にして販売される家もあるが、その多くは「自社の売れ筋商品を売りやすくするための入り口の商品」としての位置付けが強い。
64)集合住宅[しゅうごうじゅうたく]
都市に住む多くの人たちのために「限られた土地」に「高密度に集合」させた都市型住居で、同じ間取りの「住戸」がたくさん「集合」してひとつの建物をかたちつくっている。合理的な間取りの住戸が集められていて、見知らぬ顔の人たちと一緒に同じ建物に暮らすことになる。「団地」や「マンション」として馴染みがある。ちなみに、「集まって住む」形態は、「町家」「長家」として古くから日本にあった。
65)超高層マンション(ちょうこうそうまんしょん)
地上からの高さが60メートルを超える高層マンション。日本の主要都市で「タワーマンション」として高い人気を誇る集合住宅のひとつ。外国人にも人気が高く、購入する人が多い。
66)コーポラティブ住宅[こーぽらてぃぶじゅうたく]
計画段階からその建物に住むことになる人たちが集まり、各個人の住居の間取りと併せて建物全体の計画を進めてつくる集合住宅。その始まりはヨーロッパで、日本では1970年代半ばから盛んになりはじめ、最近は「同じ建物に集まって一緒に暮らす」人たちの「顔が見える」集合住宅として知名度がある。
この記事を書いた人
小林桂樹株式会社パウムテック代表取締役
一級建築士、宅地建物取引士。
多くの大工棟梁を育てた工務店の三代目として育つ。家業をベースにした「地場工務店を経営する一級建築士事務所」として多様な暮らしに寄り添った家づくりを実現。「住まう人のやりたいをかたちに」を経営理念とし、家の設計から新築やリフォームの建築工事までをワンストップに取り組む家づくりに詳しい専門家。
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