不動産投資、購入のタイミング――良い時期、悪い時期

「いつ買うのがいいの?」――投資用物件を購入の際に良くある質問。のちのち失敗したと思わないため考えておきたい購入の時期。良いとき、悪いときとは?

齋藤岳志2023/10/24

時としてたった数日が1年の差に

“税金の計”は元旦にあり?

そして、「なぜ、その年の内か?」それは基準となる日が「毎年1月1日」になるからなのです。
1月1日の時点で、所有してから5年以下であれば約40%、5年超であれば約20%になるのです。

仮に2023年12月31までに購入した場合、約20%の税率が適用されるのは、2029年1月1日以降。

一方、2024年1月1日を超えて購入した場合は、2030年1月1日以降になってしまうわけです。
これを分かりやすく伝えるために、私はいつも「物件を買ってから、お正月を6回迎えたら、税率が下がります」と伝えています。

このように購入した日が数日違うだけなのに、年をまたぐかまたがないかで売却益が出たときの税率が変わるのに1年の差が出てしまうのです。
これは、個人で購入されることが前提で、法人であればまったく影響のない話になります。

このように将来の税金負担を少しでも抑えることを考えておくことも購入時には必要ではないか、と私は考えています。

不動産投資は「大家業」で「賃貸経営」でもあります。
経営である以上、収支の管理をすることが必要ですが、税金のコントロールも、支出管理という点からは大切なポイントになってきます。
その点で、購入するタイミングと売却するタイミングを確認することも重要です。

売却を前提にしていないとしても、売却時の税金がどうなるかについて考慮しておけば、いざ売却しようとした時に「失敗した」とはならないはずです。
もちろん、あなたにとって良いと感じる物件がいつ売りに出るか、いつ出会えるかは、コントロールできません。

とはいえ、購入の意思決定する際に税金も視野に入れることは1つ指標となるのではないでしょうか。そして、税金面からは購入のタイミングがよくない時期であっても、購入したいという思いが強ければ、「失敗した」とはならないはずです。だからこそ、まずは購入したい、という気持ちを大切にしながら、時期を気にせずに良い物件と出会えたら購入する。
そのような心づもりで行動することが、失敗しない不動産投資の継続につながる、と私は考えています。

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この記事を書いた人

齋藤岳志

齋藤岳志CFP ・FPオフィス ケセラセラ横浜代表

1977年横浜市生まれ。2001年上智大学文学部哲学科卒。
百貨店、税理士事務所、経営コンサルティング会社への勤務を経て、2013年FPオフィス ケセラセラ横浜を開設。信用取引や商品先物取引、投資信託、FXなど投資という名の付くものは すべて経験し、その中で自身に一番合った大家業を2007年にスタート。 不動産投資に関するアドバイスを中心とした ファイナンシャルプランナーとして活動中.。著作に『FP大家だけが知っている資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由』(合同フォレスト)、『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか? インフレ到来で「貯めているだけ」は危険』(現代書林)がある。エフエム戸塚「戸塚井戸端会議。」レギュラー出演中。

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