中小・零細に集中する「限界撤退」
規模別の内訳を見ると、休廃業・解散は中小零細企業に集中している。特に個人事業主や小規模法人では、事業承継や資金繰りの選択肢が限られ、倒産という形を取らずに市場から退出する限界撤退が増えている。
また、経営者の年齢別で見ると、80代以上と50代が前年比で上昇した。50代は2年連続で上昇し、コロナ禍の2020年以降で最高となった。70代は39.3%と最も高い水準にあるものの、2023年の42.6%をピークに2年連続で低下している。この結果、70代以上が占める割合は63.7%、60代以上では84.1%を占めるなど、休廃業・解散を決断する経営者の高齢化が一段と進んでいる。

業種別では、「その他」を除く7業種すべてで前年から増加した。最も件数が多いのは建設業で8217件となり、前年から0.7%増加した。過去10年では2016年の8420件に次いで多い水準である。
2024年からの増加率が最も高いのはサービス業で8165件、前年比7.0%増となった。次いで製造業が3310件、同6.0%増で続く。運輸・通信業も715件、同1.7%増となり、2024年問題の影響が広がっていることを示している。

賃上げ圧力、金利負担で2026年以降はさらに機微いい状況に
2025年のデータが示すのは、単なる倒産・廃業件数の増減ではない。事業継続の前提条件そのものが、変わりつつあることを示している。賃上げ圧力やコスト構造の変化によって、収益性の低い事業は維持が難しくなっている。
黒字休廃業が減少したことは、事業が市場と合わなくなった場合に、業態転換や再構築を行う余力を持たないまま撤退する企業が増えていることも示唆する。産業構造の変化が、中小零細企業に、より直接的な形で表れているといえる。
2026年は、人手不足の解消や後継者選定といった従来の課題に加え、賃上げ圧力、利上げによる借入金利払い負担の増加も見込まれる。昭和、平成、令和と続いてきた事業形態やビジネスモデルに課題を抱えたままの中小零細企業を中心に、会社をたたむ「限界撤退」が、さらに増加する可能性がある。
こうした限界撤退は、特定の業種に限った話ではない。
「街の不動産店が静かに姿を消している背景」
にも、同じ構造が見られる。










