2025年大企業に危機が迫る!  倒産、M&A、リストラ、カントリーリスク…

2024年の企業倒産件数は11年ぶりの高水準となった。「辰巳天井」といわれ、その分水嶺になる巳年の2025年、日本経済、日本企業を取り巻く環境はどうなるのか。

立川昭吾2025/01/14

日本の周辺国はキケンがいっぱい

海外進出している企業が多い日本企業は、カントリーリスクの影響をすぐに受けてしまいます。

このほかにも、人手不足や資源高騰、海外情勢の悪化による海外進出の断念、トランプ大統領の政策によるアメリカ市場の不透明感、インサイダー取引や会計関連リスクの増加による海外投資の採算悪化。そして、中国における日本人誘拐事件の発生など大企業の海外戦略に見直しも必要になってきています。

特に、中国での日本人誘拐事件などに対する不安から、海外勤務を命じられても、若い社員が嫌がるケースが増えています。このような状況も、大企業の経営を揺るがす要因の一つです。

海外だけでなく、国内でも人件費の高騰や人手不足は深刻で、特に飲食業などは大きな影響を受けています。たとえば、「梅の花」は25年4月期の中間決算をみると、前年同期比マイナイスとなっています。これは原材料費の高騰と、顧客が支払う金額とのバランスが取れなくなってきていることが大きな要因といえるでしょう。

規制強化と押し寄せる2030年問題

さらに、国の規制強化も企業にとって大きな負担となっています。
物流業界、建設業界がかかえる働き方改革による2024年問題や運輸・環境規制など、次々と新しい規制が導入され、企業はその対応に追われています。
これらの規制は、企業の経営を圧迫する要因となっています。

また、私がとくに懸念しているのは、不動産の2030年問題です。
2030年になると、人口減少が加速し、不動産業界は大きな打撃を受けるでしょう。

不動産の2030年問題とは、団塊の世代が徐々に減少していく一方で、若い世代の人口は少なく、住宅需要は減少の一途を辿ることから起こる問題です。
加えて、インフレによる地価上昇も、デベロッパーや住宅メーカーなどの経営を圧迫しています。
2030年ごろをピークに、不動産業界は長期的な低迷期に入るといわれており、不動産市場の低迷は、日本経済全体に大きな影響を与える可能性があります。

この難局を大企業はどう乗り越えていくのか、また政府はどういった政策を打ち出すのか注視していくことが必要です。

ただ2025年の景気動向は、厳しい状況にはありますが、ひとまずは景気は回復すると見ています。とはいえ、私の予測では前半は景気が安定するものの、後半が勝負になると思います。

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立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

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