【倒産急増/貨物運送】すぐに荷物が届く便利な生活は終わりを告げる

4月、貨物運送業界にとっての2024年問題の幕がついに上がった。慢性的なドライバー不足のうえに、働き方改革によるドライバーの勤務時間の厳密な管理。こうした状況でなかで貨物運送会社が生き残るために必要なこととは何か。

立川昭吾2024/05/28

本当に儲からなくなった貨物運送業

他業種同様、人手不足、ドライバー確保のためには給与を上げる必要があり、そのために運賃の値上げをしなくてなりません。しかし、発注先に運賃の値上げの要求ができればよいのですが、貨物運送業は競争も厳しいこともあって、これが難しいのが実態です。

つまり、給与の引き上げをしなくてならない一方で、値上げができない。値上げをしようとすると、有力な顧客先を減らしていくという悪循環に陥ってしまっています。

加えて、ロシアのウクライナ侵攻、中東のハマスによるテロ攻撃に端を発したパレスチナガザへのイスラエル軍の攻撃によって、石油価格の高騰。円高と相まって燃料代の負担が増えてしまった。また、これまで経費を抑える目的から国道などの一般道を使っていたものを 、労働時間短縮のために高速道路の利用が求められ、こうしたコストが嵩んでしまっています。
また、トラックなどの整備費などもあり、貨物運送業はほんとうに儲からない業種になってしまっています。

値上げができないわけですから、そのしわ寄せはサービス労働などのかたちで、ドライバーにさらなる負担をもたらしました。こうした例はたくさんあって、私自身もこうした現場を何回も目にしてきたことがあります。そして、残業時間の短縮が迫れており、それもできなくなってきて、という状況になったわけです。

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立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

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