パワーカップルの異業種結婚で得られるもの、失うもの――コーディネイトした男女の関係

自分と違った価値観や環境にあるパートナーを求めて、異業種の婚活パーティーをきっかけに結婚したパワーカップル。コロナ禍の中で生じた異業種カップルが直面した価値観の違いによる不一致。

北 淑2023/10/04

普通の結婚とコーディネイトした異業種結婚の違い

男性が導き出した答えは、どんな夫婦にもある職業と結婚の結びつきを意味しています。そして、演奏家をやめるときは結婚も終わるときと悟ると、男性はゼロからはじめる覚悟ができたといいます。

カウンセリングに来ることで、「もしかすると手のしびれは、新型コロナの後遺症ではなく、この結婚生活への虚無感だったのではないか」「誰にも言えなかったこのことを話すことで、手の症状が変わるかもしれないと思った」と話す男性。
男性が考えた通りの結論になったのは、定かではありません。

しかし、3回目のカウンセリングのあと、男性の元には久しぶりに仕事の依頼が舞い込みます。それは小さなプライベートコンサートの演奏でしたが、男性はすぐに承諾。無事、演奏はこなせたといいますが、しびれが完全に消えることはありませんでした。
それでも妻との離婚による喪失感が、これまでと違う「何かに寄り添うような演奏に変容することができたかも知れない」と振り返っていました。

異業種の妻との結婚で得られてもの、失ったもの。別れることでこれでと違った自分の再発見――男性が求めた答えとは違ってものかもしれませんが、カウンセリングによって自身を見つめ直すという効果はあったと思います。そして、男性はまた新しい出会いがあることでしょう。

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この記事を書いた人

北 淑

北 淑公認心理師 博士(医学)

大手不動産会社で産業保健活動を行う一方、都内で親子や夫婦の関係改善のためのプライベートカウンセリングを実践している。また、最近は、Webカウンセリングも行い、関東甲信越や東北地方の人たちとのセッションにも力を入れている。

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