北里大学薬学部卒業後、大学病院、企業診療所、透析施設で薬剤師として勤務。その後、製薬会社で企画販売に従事し、体調を崩した時に漢方薬に出会い、漢方を学びはじめる。日本漢方協会漢方講座を経て、田畑隆一郎先生の無門塾入門、愛全診療所 蓮村幸兌先生(漢方専門医)の漢方外来にて研修。現在は「より健やかに、更に美しく」を目指して患者さんの漢方相談、わかりやすい漢方の啓蒙活動に取り組んでいる。著書に『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』(ごきげんビジネス出版)がある。

【瘀血(オケツ)型】全身の血行が悪いため、からだのあちこちで寒熱がアンバランスになる
外傷や炎症性のうっ血、また女性の場合は月経、妊娠、出産などが原因で体内に血の滞りが生じることを漢方では「瘀血」と呼びます。瘀血があると全身の血の循環が悪くなり、そのため冷えを感じるようになります。瘀血による冷えの特徴は下肢や腰は冷えるのに顔や手はのぼせて熱く感じる、いわゆる「冷えのぼせ」を伴うことです。
桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
【主な症状】下半身は冷えるが顔はほてる、シミやアザができやすい、生理になるとイライラする、痛みがつらい、
手足は冷えるのに顔はのぼせ気味で、下腹部が張り、頭痛、肩こり、月経障害といった瘀血特有の症状が顕著です。
【効果】血や水を巡らせながら、血行不良が原因となる熱を取り除くことで症状を改善します。
【成分の効能】桂枝でからだを温め、茯苓は余分な水分を巡らせ、牡丹皮(ボタンピ)・桃仁(トウニン)で血の滞りを改善、芍薬で血を補いながら症状を緩和します。
桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
【主な症状】下半身は冷えるが顔はほてる、のぼせが強い、便秘傾向、イライラする
冷え症というと、体力のないナヨナヨした人を想像しがちですが、必ずしもそうとばかりは限りません。体力のあるがっちりした人で赤ら顔か浅黒い顔色で、冷えのぼせと月経障害や便秘があり、一方では冷え症といった人によく用います。
【効果】血の滞りを整えながら、熱を冷ますことでのぼせや精神不安、便秘を改善します。
【成分の効果】桃仁が血の滞りと凝り固まった熱を解消し、桂枝は桃仁の血行改善を助け、大黄(ダイオウ)・芒硝(ボウショウ)は熱を冷まして便通を通じさせることで症状が改善します。
【冷えのワンポイントアドバイス】
冷房・暖房はひかえめに
栄養バランスが整った食事を、規則正しく
冷飲食、生ものはなるべく避ける
適度な運動を定期的に
首、手首、足首、腰、関節などが冷えない注意を
シャワーでなく湯船につかる入浴や足浴を習慣に
ストレス発散で血流改善を
次回は「むくみ」についての漢方薬を紹介します。

『更年期の不調に効く自分漢方の見つけ方』斉藤明美 著