この記事でわかること
フラット35の金利が過去最高まで上がった推移
固定金利が変動金利より先に上がる理由
3000万円を借り換えるときにかかる諸費用
変動金利がどこまで上がれば固定に並ぶか
固定への借り換えが向く人、動かなくていい人
フラット35は1年で2倍になった
住宅金融支援機構が公表した10月のフラット35(買取型)の金利は、返済期間21〜35年・融資率9割以下で3.83%。9月の3.46%から0.37%上がって3か月連続の上昇となり、2017年10月に現行の制度になってから最も高い水準だ。
1年前の2025年10月は1.89%だったので、1年で2倍を超えたことになる。
| 年月 | フラット35の金利 |
| 2019年10月 | 1.11% |
| 2021年10月 | 1.30% |
| 2023年10月 | 1.88% |
| 2025年10月 | 1.89% |
| 2026年1月 | 2.08% |
| 2026年4月 | 2.49% |
| 2026年7月 | 3.14% |
| 2026年10月 | 3.83% |
※返済期間21〜35年・融資率9割以下の最頻金利
現行制度で最も低かったのは2019年9月と10月の1.11%。その後、2025年12月の1.97%まで6年あまり1%台で動かなかった。ところが2%台に乗ったのが2026年1月、3%台に乗ったのが6月と、半年で1%ずつ上がっている。
フラット35の金利は長期金利に連動する。10月1日には新発10年物国債の利回りが3%を超え、日銀は9月18日の金融政策決定会合で政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げた。6月の利上げから3か月での追加利上げだった。
「金利が上がるなら固定へ」の落とし穴

金利が上がる局面では、変動から固定へ逃げておけ――。住宅ローンの通説である。
とはいえ、この通説には時間の問題が抜けている。長期金利は、この先の利上げを先回りして織り込む。つまり固定金利は、変動金利が上がる前に、もう上がってしまっているのだ。
変動金利の人の多くは、まだ1%を下回る金利で借りている。6月と9月の利上げを受けて0.90%になった人を想定すると、フラット35との差は2.93%。借り換えた翌月から、返済額は大きく増えることになる。
借り換え費用は約90万円
借り換えには費用もかかる。残高3000万円をフラット35に借り換える場合で見積もった諸経費は以下のようになる。
・融資手数料(定率2.2%の場合) … 66万円
・抵当権設定の登録免許税(0.4%) … 12万円
・金銭消費貸借契約の印紙税 … 2万円
・司法書士報酬など … 約10万円
合計で約90万円。融資手数料は金融機関によって違うものの、残高の3%前後は見ておきたいところ。
変動が平均4.01%を超えないと元は取れない
では、どこで元が取れるのか。残高3000万円・残り25年・元利均等返済で試算してみた。
変動0.90%のままなら毎月の返済は11万1709円、フラット35の3.83%なら15万5549円で、毎月4万3840円の差になる。25年の総返済額は変動が3351万円、固定は4666万円に費用90万円を足して4756万円だ。
変動金利がこの先どう動けば、固定の4756万円に並ぶのか。
| 変動金利の動き | 25年の総返済額 | 固定(費用込み)との差 |
| 0.90%のまま | 3351万円 | ▲1405万円 |
| 毎年0.25%ずつ上昇(最後は6.90%) | 4242万円 | ▲515万円 |
| 半年ごとに0.25%上昇、3%で頭打ち | 4104万円 | ▲653万円 |
| 半年ごとに0.25%上昇、4%で頭打ち | 4401万円 | ▲356万円 |
| 半年ごとに0.25%上昇、5%で頭打ち | 4656万円 | ▲101万円 |
※金利が変わるたびに返済額を計算し直した。5年ルール・125%ルールは考慮していない
毎年0.25%ずつ、25年間上がり続けても固定に届かない。半年ごとの利上げが続く場合でも、変動が5.45%まで上がり続けて、ようやく並ぶ計算だ。
25年を均して言えば、変動金利が平均4.01%を超えたときが分岐点になる。0.90%の変動金利は政策金利より0.35%低い水準なので、同じ幅で動くなら政策金利が4.3%台に乗り、それが25年続くということ。5月時点の試算では、固定が変動を逆転するのは政策金利が2.25%を超えたときだった(住宅ローン、変動がお得なのは政策金利2%まで? 金利上昇の備え方)。固定が先に上がったぶん、借り換えのハードルも上がったのだ。
それでも固定を選ぶ人
もちろん、総返済額だけで決まる話ではない。固定に借り換える意味は、返済額がこの先動かなくなる安心にある。毎月4万3840円の差は、その安心に払う保険料と考えることもできる。
とはいえ、変動の返済額が増えると家計が持たない人ほど、借り換えた翌月から4万円増える固定にも耐えにくい。固定への借り換えは、家計に余力がある人の選択肢になっているといえるだろう。
残り期間が20年以下なら、フラット35は3.51%に下がり、分岐点も動く。逆に2019〜2021年に1%台前半のフラット35で借りた人は、いまの金利水準から最も遠い場所にいる。動く理由はない。
変動で借りている人が先にやることは、借り換えより残高を減らすことだ。手元資金に余裕があれば繰り上げ返済で元金を減らし、利上げが乗る土台そのものを小さくしておく。固定への扉は、変動の利上げが本格化する前に、すでに狭くなっていた。
※フラット35の10月の金利は住宅金融支援機構の公表値、過去の推移はSBIアルヒ「【フラット35】の金利推移」による。返済額の試算は元利均等返済方式で計算したもので、実際の適用金利・借り換え費用・返済額は金融機関と契約内容により異なる。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品を推奨するものではありません。借り入れ・借り換えの判断は、ご自身の状況に応じて金融機関にご相談ください。
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