
民間業者に依頼、意外な落とし穴
一方で、ルール違反対策として、あえて民間業者による「毎日回収」を導入する物件も増えている。自治体によるゴミの回収は無料だが、分別や曜日管理が徹底されないという現実がある。とくに学生用物件では、5つの基本ルール――分別、指定袋、曜日、時間帯、場所――のいずれかが守られないケースが一定割合で発生する。
そこで業者回収を導入し、回収代を入居者で按分する仕組みを採るというもの。月額1000~1500円程度、日額にして30~50円前後で、利便性とトラブル抑止の対価と考えれば合理性はある。しかし、重要なのは契約時にこのことを明示しなくてはならない。費用負担の内容が重要事項説明で説明され、合意されているかどうかで入居者とのトラブルに発展しかねない。
とはいえ、業者回収が万能というわけではない。分別が必要であることをきちんと伝え、極力分別を促すことは必要だ。利便性と環境配慮の両立は、賃貸経営者に求められる。
そしてもう一つ、見落とされがちなのが騒音問題である。業者回収の場合、その作業が深夜に行われるというケースもある。その際、回収車のエンジン音や積み込み音に対する苦情が出される。
夜間の屋内騒音基準は40デシベル以下とされる。ゴミ回収車は通常2~3分程度の作業であり、交通騒音のように継続的ではない。このため、一瞬基準を超えたからといって直ちに違法と評価されるとは限らない。いわゆる受忍限度がどこまで許されるかということになる。
対応としては、まずは回収時間帯の変更が可能かどうかを業者に確認すること。それでも難しい場合、苦情がどの程度出ているか、例えば特定の一人に限られるのか、あるいは複数から出ているのかも判断材料となる。音に対する感受性は個人差が大きく、物理的な騒音レベルだけで結論は出ない。
ゴミ出し問題は、単なる生活マナーだけの話で済まない。管理責任の所在、契約内容の明確化、費用負担の妥当性、居住者はもとより周辺住民の目、さらには環境への配慮、受忍限度の考え方まで、賃貸経営の基本論点が凝縮されている。
物件の価値は、外観や設備だけでは決まらない。ゴミ置き場の整然さ、トラブルへの初動対応、そして責任を曖昧にしない姿勢といった賃貸経営の基本が問われる問題だ。










