高利回りの物件は都心以外?
東京の中古マンションの平均価格が1億円を超え、大阪、福岡についても都心部のマンション価格不動産価格の上昇が続いる。そんなマンション価格の上昇とは逆に、マンション投資における都心部とそれ以外の地域との利回り格差がより大きくなっている。
不動産情報会社のマーキュリー(東京都新宿区)は、独自に収集する不動産ビッグデータをもとに築後10年以内のマンション表面利回りランキングを公表した。この調査によると、都心部の利回り低下が進む一方で、郊外物件が相対的に高利回りを維持していることが明確に示された。
ランキング上位には、マンション価格が高騰する東京、大阪、福岡の都心部ではなく郊外・地方都市の物件が並ぶ。
1位は愛知県知立市「クリオ名古屋東刈谷」で表面利回り8.71%、2位は神奈川県三浦市「ウエリス三浦海岸」8.70%、3位は東京都八王子市「オーベルグランディオ八王子エアーズ」7.93%、4位は東京都足立区「オープンレジシアン北綾瀬」、5位は東京都港区「HARUMI FULAG SKY DUO(PARKVILLAGE)」7.59%と5位のHARUMI FULAGを除けば地方や都内でも都心6区を除いた地域だ。言い換えれば、HARUMI FULAGが以下のお買い得物件だったかという証左ともいえよう。
(利回りは「年間賃料収入÷物件価格 ×100」で算出/投資用マンションは除く)

郊外・地方物件が高利回りになる理由
同社の分析によると、都心部では物件の価格高騰が続き、賃料の伸びが追いつかず利回りが押し下げられている。一方、地方や郊外は物件価格の上昇が比較的緩やかで、賃料とのバランスが取れているため、利回りが高くなる環境にあるという。
とくに1位の「クリオ名古屋東刈谷」は価格帯が比較的抑えられており、賃貸需要が安定している点が利回り向上に寄与したとみられる。
背景には、「中古マンション市場全体では価格上昇が続いているが、都心の値上がり幅が大きく、収益性を圧迫している」と分析。東京23区でも山手線内側をはじめとする都心の人気エリアでは、投資需要の高さが価格を押し上げ、利回りが低くなりやすい構造が続く。
とはいえ、利回りだけで判断することは難しい。賃貸需要の強さ、人口動態、将来の資産価値、売却時の流動性など総合的な見極めが必要だ。郊外の高利回り物件であっても、エリアの賃貸需要が長期的に維持されるかが投資成果を左右する。
東京都心の高価格帯物件の表面利回りは3~4%台に集中しており、安定資産としての魅力はあるものの、キャッシュフロー重視の投資家には物足りない水準といえるだろう。
利回りを取るか、資産性を取るかというと投資スタイルでは、やはり物件そのものの魅力も踏まえて総合的な判断が必要だ。
都心の不動産価格は高騰を続けているが、今後も金利引き上げも予想され、不動産の投資判断は難しくなりそうだ。











