これから5年が投資の狙い目? 「東急池上線」羽田空港エリアの可能性

これから5年、羽田空港を中心とした「注目!不動産エリア」。「京急空港線」に続く第2弾は「東急池上線」だ。タワマン中心の開発が進む品川区と川崎市の間にある大田区、東急池上線沿線の可能性を探る。

山下努2025/04/16

東急池上線沿線の魅力は下町力

羽田空港から品川方面へは、京急空港線も梅屋敷駅、大森町駅、雑色駅あたりまで羽田エリアとして広がるだろう。加えてJR東日本も羽田空港アクセス線の開業に向けて工事が進んでおり、国際展示場、豊洲を通るりんかい線とつながる「臨海ルート」、東京・上野と繋がる「東山手ルート」、渋谷・新宿とつがる「西山手ルート」が31年ごろから順次開通する見通しで、羽田空港へのアクセスはますます便利になりそうだ。

池上本門寺の五重塔

空港目線で見ると、京急空港線、JR東日本は品川区の海岸線を品川駅に向かって北上し、ビジネス色が強いが、東急池上線は羽田空港から西に進み大田区をぐるりと住宅街を囲い込み、品川方面への鉄道沿線に比べ趣を異にする。

大田区は、古い住宅街が残っている地域で、全国の空き家ランキング数は世田谷に次ぐワースト2。このため不動産投資先としては、地価も手ごろで、世田谷よりずっと将来性がある。しかも23区でありながら、現状は大田区を飛び越えて川崎のほうが人気だ。その象徴的な存在が武蔵小杉のタワマン群だ。
つまり、東急池上線沿線は下町力が魅力になっている。

加えて、東京の街の中心が南部にシフトしているため、注目度は品川から南東方向にシフトするだろう。しかも、すでに品川区は10棟以上のタワマン計画が進んでおり、「新タワマン銀座」ともいわれる。

下町商店街とインターナショナルが混在する街

2001年当時、「『豊洲』なんて地名をマンション名につけると売れ行きが悪くなる」ということで、低廉なマンションが大量に供給され、マンション名には「東京」などの名を冠したマンションが増殖した。実際、豊洲駅徒歩5分でも新築でも坪単価は150万円、広さは100㎡弱で5000万円弱の物件が豊富だった。そんな豊洲も現在は英語を使う外資系企業の関係者の住む街からオフィス街に変貌した。
そんな当時の豊洲を考えると、フロンティアとして大田区の時代がやってくる可能性がある。2030年までに、「羽田ブレーク」を前提に先行投資をするのもいいだろう。

特色のある商店街が魅力「戸越銀座商店街」

大田区の魅力は、私鉄とJRの線路に挟まれたユニークな下町商店街にあり、それを生かせるかが今後の開発の課題になる。
その反面教師になるのが品川区で東急大井町線の戸越公園駅周辺には、タワマンが建ちはじめ、住民たちを落胆させた。「タワマンで再開発」というありきたりのものではなく、地元が培ってきた魅力を生かした街づくりを行うことが重要だ。
そうすることで、京急空港線、東急池上線の羽田エリアは、昔ながらの商店街と、空港というインターナショナル的雰囲気が混在した地域として人を惹き付ける魅力あるエリアになるだろう。

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『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』
(山下 努 著)

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山下努

山下努経済アナリスト

不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』『2030年不動産の未来と最高の選び方・買い方を全部1冊にまとめてみた』(いずれも東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
(著者連絡先)windomaezaki@yahoo.co.jp

 

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