元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。
そんな品川浦で、最近発足した再開発準備組合の再開発基本計画素案は早くて今年度末に取りまとめられる可能性がある。
再開発案では、街角から水辺をつなぐ歩行者空間を、新たな「浜道」として整備し、品川浦に根付いてきた水辺への意識、水辺と生活のつながりを取り戻すというもの。だが、それは巨大開発の「おまけ」のようにみえる。
というのも、現状、幅の狭い運河に観光の屋形船などが停泊し、昔ながらの風情が残っているが、この停泊場所の移動を検討。高層建築物によるビル風対策の観点から、運河の入り口のエリアに集積する案があるとされる。
また、新たに建設されそうな飲食・商業施設、保育施設や高齢者施設などは、拠点となる施設は遊歩道で結ばれ、海辺を歩いて楽しめる「ウォーカブル」なエリアとなる。しかし、これも日本のどこでも行われている開発手法で、それ自体が目新しいものでもなく、いまさら珍しくもお洒落な感じもない。
大手デベとゼネコンのオールスターキャスト
宿場町に街路灯を整備した旧東海道品川宿まちづくり協議会は、江戸時代からの歴史や地域の特性などを研究し、地域の広報や、行事の企画などに精力的で、地域密着型の活動をしてきたが、タワマン連続開発には沈黙しているように見える。
品川区は東京都とのパイプが太く、これまでも都が再開発の全面に出て、主導することがあった。
この「品川浦」を囲むように南・西・北の3街区品川浦一帯の再開発に名を連ねる大手デベロッパー、スーパーゼネコンはまさにオールスターキャストともいえるような布陣だ。
最も面積が広い品川浦に接する北街区(品川浦周辺北地区市街地再開発準備組合/準備組合は23年10月末に発足)の開発面積は6万㎡。事業協力社は、日鉄興和不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス、旭化成不動産レジデンス、清水建設、大林組、京浜急行電鉄、住友不動産、中央日本土地建物、東急不動産、長谷工不動産の11社が名を連ねる。
北品川駅を含む西街区(品川浦周辺西地区市街地再開発準備組合/準備組合は23年10月末に発足)の開発面積は3万5000㎡。事業協力社は、日鉄興和不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス、旭化成不動産レジデンス、、五洋建設、清水建設、京浜急行電鉄の7社。
南街区(品川浦周辺南地区市街地再開発準備組合/23年10月に準備組合が発足)の開発面積は4万㎡。事業協力社は、日鉄興和不動産、三菱地所、三菱地所レジデンス、旭化成不動産レジデンス、東京建物、五洋建設、大林組、東急不動産の8社による。