不動産投資――もしものときに失敗しない相続準備のすすめ

不動産は相続税対策として有利な選択肢。不動産投資、マンション投資の強み、相続を円滑に進める方法とは?

齋藤岳志2024/09/27

相続に有効な2つの方法

ただ、相続の視点で考えると、資産がさまざまな場所に点在してしまい、相続人の方が、保有物件を把握しにくい、ということにもなりかねません。
それに備えるには「自筆証書遺言」とともに資産の一覧を作成し、「法務局」に預けておくというのが、1つの対策として有効になります。
とはいえ、私ごとになると現時点では、資産を遺す存在がいないので遺言書は作成していませんが、自分の死後のことも考えて、一度まとめて書いておくことも必要かな、と感じています。

さて、この法務局に遺言書を預ける制度は、「自筆証書遺言書保管制度」という名称です。
3900円で、法務局で預かってもらえるという制度です。
遺言の内容や体裁が整っているかなどのチェックはしてもらえませんが、自宅などに保管するよりは安心でき、実際に相続が起きた時、相続人の方が閲覧の請求をして、遺言書の確認ができるという流れです。
これを見れば、相続人の方が困らない、という状態を整えておくことこそ、一番の相続の準備になるのではないか考えています。

また、「生命保険契約照会制度」という制度もあります。
これは相続が発生したり、認知判断能力が低下した時に、法定相続人、法定代理人、3親等内の親族などが、対象者が加入していた生命保険を調べてもらい、まとめて回答してもらえる、という制度です。

株式や投資信託などを持っている人よりも、生命保険に加入している人は多く、離れた両親などが、どのような生命保険に入っているかなど、把握しにくいケースもあるかと思います。
そのような時に、この制度を活用することで、加入していたことに気づかない生命保険もなくなり、相続財産の見落としも防ぐことにつながり、保険金の受け取り漏れを防ぐことにもつながります。
生命保険に加入している方が多い日本だからこそ、日本の現状に沿った、良い制度ではないか、と感じます。

相続を考えるということは、「あなたの身の回りの整理をする」ということにもつながります。
遠い未来のことかもしれませんが、現状把握にもつながる面もありますので、「資産を書き出してみること」「親御さんと話してみること」をぜひ一度、行ってみることをおススメします。
これを行っておくことが、ひいては、円満な相続対策、失敗しない相続につながる1歩だと私は考えています。

1 2

この記事を書いた人

齋藤岳志

齋藤岳志CFP ・FPオフィス ケセラセラ横浜代表

1977年横浜市生まれ。2001年上智大学文学部哲学科卒。
百貨店、税理士事務所、経営コンサルティング会社への勤務を経て、2013年FPオフィス ケセラセラ横浜を開設。信用取引や商品先物取引、投資信託、FXなど投資という名の付くものは すべて経験し、その中で自身に一番合った大家業を2007年にスタート。 不動産投資に関するアドバイスを中心とした ファイナンシャルプランナーとして活動中.。著作に『FP大家だけが知っている資産形成に中古ワンルームを選ぶと失敗しない理由』(合同フォレスト)、『老後が不安……。貯金と年金で大丈夫ですか? インフレ到来で「貯めているだけ」は危険』(現代書林)がある。エフエム戸塚「戸塚井戸端会議。」レギュラー出演中。

  • WEB

※このサイトは「事業再構築補助金」を活用しています