【倒産不可避?】街の不動産店が次々と消滅、その背景にあるもの

いまや全国にあるのコンビニエンスストアの倍以上の数がある不動産業者。そんな不動産業者に倒産が増えている。不動産価格が高騰しているなかで不動産業者に何が起こっているのか。

立川昭吾2024/09/06

大手と中小不動産会社の差は広がるばかり

リアルな物件の内見も少なくなっている

それ以上に大きな変化が、物件の選び方や、その物件を実際に見る内見の方法が変わってきたことがあります。

以前であれば、不動産業者の店に行って、希望に合いそうな物件を紹介してもらって、担当者と一緒に実際に物件を見に行く、内見をするのが普通でした。
しかし、いまはIT化が進み、ネットを活用しで自分で気に入った物件を探し、メールやLineで物件を紹介してもらうことが増えてます 。この結果、こうしたシステムのある大手とシステムのない中小の格差がどんどん広がっているというのが実情なのです。

はっきりいってしまえば、街の不動産店には行かず、スマホで大手の会社がつくったアプリで自分の好みの物件を探し、VRを使って内覧をして決めてしまうのです。もはや担当者と現地に行って物件を見るというようなタイパの悪いことは今の若者はしなくなってきてるのです。

お気づきの方も多いでしょうが、少し前までは山手線、中央線、東海道線、また大手私鉄の駅前には何十軒もの不動産店が軒を連ねていました。しかし、最近は驚くほど少なくなっています。
これを見ると、時代が大きく変わったと感じると同時に街の不動産店はどこにいったのかと思ってしまいます。

人気は衰えることのない「不動産業」

とはいえ、不動産業の人気がなくなったかというとそうではなく、依然として人気のある業種です。
宅建取引士の資格を取った人の多くは自分で店を出したいという人も多い。街の不動産店は減っているのに、むしろ競争は激しくなっています。実際、5万7000軒あまりあるコンビニエンストアに対して、賃貸物件を扱ってる全国の不動産事業者は、12万9604社あり、毎年3%ずつが入れ替わっている、新陳代謝の激しい業界なのです。

その一方で、経営者の平均年齢が65.64歳で他の業種に比べて高く、業界として時代の流れについていけなくなっているという側面もあります。また、後継者がいないため廃業する不動産業者も多い。この結果、街の不動産店が消滅していくということにつながっています。

このように不動産事業者を、取り巻く環境が大きく変化しています。
これに加えて、賃貸契約についても、大きく変化してきています。それが電子契約サービスによって簡単にできるようになったということです。

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この記事を書いた人

立川昭吾

立川昭吾

1945年新潟生まれ。
中央大学商学部卒業後、東京重機工業株式会社(現株式会社ジューキ)入社。退社後は、企業の倒産現場に数多く立会い、企業の倒産回避のノウハウをマスター。1995年設立のTSKプランニングで、コンサルタントとして経営危機に直面した企業の倒産回避および事業再生に関するコンサルティングを手掛けている。
著書に『隣の会社「なぜ?」潰れないのか』『脱常識のしたたか社長論。』『日本が潰してはいけない会社』など多数。

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