小池百合子氏の都知事選勝利でタワマン建設が加速 その背景にあるもの

2024年東京知事選挙は、現職の小池百合子氏が当選。「3期目はさらにスピードアップ、バージョンアップして政策を進めたい」と語った小池都政3期目で東京はどうなるのだろうか。

山下努2024/07/17

税金依存率7割、補助金漬けのタワマン建設も

武蔵小山商店街
都内のあちこちで建設が進むタワマン(写真はイメージ)

前に指摘したように、東京都内のタワマン建設を促進しているのは補助金にある。東京都内で毎年50か所の事業が進んでおり、平均すると、少なくともその2割の額が補助金で支えられている。タワマンは一握りの大手デベロッパーしか開発に参入できない現状において、大手デベロッパーに対するこの上ない行政支援だ。しかも、再開発事業の縦覧期間(公開チェック等の機関)が2週間と短く、開発者側が有利になっている。

国や自治体の説明では、防火や耐震など防災事業を行うには再開発が最適とされる。そこでタワマンの開発は、道路拡幅や建物の不燃化、細分化された土地建物の権利関係を解きほぐす格好のツールになる。ただ、これは表向きの理由に過ぎない。

これらの再開発事業は道路などのほか住居や私有不動産がからむため、補助金をテコに建物を高層化・大型化して、再開発で外部に売れる保留床といわれる部分を作ることで補助金漬けを招き、郊外では保有床の価格が安い。そのためこうした開発の中には税金依存率が7割まで高まっている。

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山下努

山下努経済アナリスト

元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。

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