小池百合子氏の都知事選勝利でタワマン建設が加速 その背景にあるもの

2024年東京知事選挙は、現職の小池百合子氏が当選。「3期目はさらにスピードアップ、バージョンアップして政策を進めたい」と語った小池都政3期目で東京はどうなるのだろうか。

山下努2024/07/17

タワマンによって地域の「都市階級化」が進む

都内のタワマン人気は高まるばかり? 

行政の裁量で決められる建物の高層化や容積率アップを認める代わりに、ホテルや国際会議場などを含めた準公的な施設の建設を自治体の財布も痛めることなく、民間(大手デベロッパー)に建設促進してもらえる。もちろん、こうした施設も新たな税収を生み出す。
この東京の富裕住民の優遇策は、日本の成長を支えてきた中流社会の分解を促進し、地域の「階級都市化」が進む結果を生み出す。

ただ、日本は少子高齢化と人口減少は着実に進むため、タワマン開発で地域の人口が増えても、それは他の自治体から富裕層をはがして自分の自治体に貼り付ける行為で、いわば富裕層の取り合いでしかない。

加えて、見落とせないのは、日本の国力や国際競争力の低下である。
2023年にはGDPでドイツに抜かれたが、早ければ24年中にはインドに抜かれ、日本は世界5位となる。また、1人当たりのGDPは、先進国が集まるOECD38カ国で最下位のグループだ。IMD「世界競争力年鑑2023年度版」によると、同機関が算出する国の競争力で日本はタイ(25位)などにも抜かれ、アジアの新興国の後塵を拝し、今後は日本の人口の2倍以上のインドネシアにも抜かれかねず、将来的にアジアのお荷物になる懸念すらある。
こうした国のそのものの経済力低下のなかで、自治体は高額納税者の誘致競争に走り出したのだ。

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この記事を書いた人

山下努

山下努経済アナリスト

元朝日新聞経済記者、英字新聞「ヘラルド・トリビューン朝日」記者。不動産など資本市場の分析と世代会計、文化財保護に高い関心持ち、執筆活動を行っている。『不動産絶望未来』(東洋経済新報社)などペンネーム・共著含め著書多数。

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