東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。著書に『猫を助ける仕事』(光文社新書)などがある。
必要なのは「頭数」と「去勢避妊手術」の有無
大家さんや管理会社にしてみれば、入居者がどのようなペットを連れているかが、気になるのはわかります。しかし、入居対象者がすでにペットを飼っていることが前提で、保護猫や保護犬と暮らすことを望む方が増えてきているなかで、こうした書類を求めるのは実情とかけ離れているように思えます。
とくに猫は昔からペットショップで購入する人は2割程度といわれ、残りの8割は飼い主さんが拾ってきた子猫や、保護団体から譲渡されたりする子たちが多いからです。
こうした猫たちの性別の判別は容易ですが、年齢がはっきりしません。種類にしてもミックスや、血統が明確な猫であっても、柄によって色々混じっていて見た目からはわからない場合もあります。
これらのことは入居にあたって不明であってもさして問題にならないのではと思います。
入居者の把握と同様に、動物の情報について把握は必要だと思いますが、大事なのは「頭数」と「繁殖抑制のための不妊去勢手術が済んでいるかどうか」くらいだと思います。
とくに不妊去勢手術は、これを怠っていてオスとメスのいる多頭飼育をするとだとあっという間に増えてしまうことになりかねません。ただ、未手術の場合であっても、入居後、人もペットも生活が落ち着いてから、かかりつけや近隣の動物病院で健康診断書、不妊去勢手術の証明の提出を求めるほうが望ましいと思います。
むしろ、ペット可物件の入居審査に必要なのは「入居者(飼い主)の情報」で、とくにその方にしっかりした収入があり、社会生活に必要な常識があるか、飼育者として問題がないかの確認ではないかと思うのです。
犬や猫は手もかかりますが、お金もかかります。その経済的な負担を背負えるか、ペットをきちんと管理できる人かということではないでしょうか。
ペットに関して起こる問題は、ペットにあるのではなく飼い主にあるのです。
ペットとの暮らしは楽しいものです。多くの方がそれを実感してほしいと思います。そのために私たちはそれを実現できる環境を作っていきたいと思っています。
東京キャットガーディアンでは、ペット可物件の運営や飼い主さんへの面談審査のポイント、運営などの相談に応じています。