「ペット可物件」探しの苦労――暮らしてみてわかる日常生活での問題

理想通りの物件に愛犬とともに引っ越しを果たした著者だったが、そこでの生活が始まると問題が発生。そもそもそのマンションはペット可物件ではなかった。そこで問題解決にとった行動とは。

山本葉子2023/12/26

鳴き声の問題

引越しの休暇が終わり、会社への出勤が始まりました。

家での留守番になる2匹のポメラニアンは「「行っちゃうの~?」と不満顔で玄関前まで出て来ていましたが、「仕事なのだよ」と言い聞かせて会社に向かいます。
出勤すると、仕事が山積み。そのためで残業気味になりながら、帰宅すると、エレベーターの中でわが家にいる愛犬たちの達の鳴き声が聞こえました
私が購入した部屋は5階の角部屋でしたが、エレベーターのドアが開くとひときわ、鳴き声が大きく聞こえます。

「前に住んでいた賃貸マンションではこんなに聞こえなかったのに……」
この犬たちの鳴き声は大ごとになるかもしれない。ほかのご迷惑になっているんじゃないだろうか? と思いがめぐります。

それにしても、ポメラニアンの鳴き声がよく聞こえます。防音がここまで効かないとなると、マンションの構造についても疑問がわきます。
・ドアなどに隙間がある
・壁自体が薄い
・断熱材が十分でない。
などと、疑いが深まるばかり。

実際、玄関のドアは「閉めても音が筒抜け」状態でした。
犬は、動物の中でも唯一「飼い主と一緒にいられる所が世界一幸せな場所」というマインドを持った動物です。
逆に言えば「飼い主がいない所は世界で一番不幸な場所」になります。
お留守番をさせられると、鳴いて呼んだりストレスを募らせてしまう傾向があるのです。

「ペット共生マンション」が流行り始めた頃、各デベロッパーさんは何を思ったのか、「単身者向きの物件で飼育できるのは小型犬のみ」という条件で売り出していました。
しかし、単身者=犬はお留守番決定です。入居されていた方と管理運営の会社さんと、双方にお話を聞く機会がありましたが、やはり各戸の部屋で犬たちは盛大に鳴いていたようです。

私も単身者なので「朝晩のお散歩は欠かさず、広いバルコニーでの運動と、犬たちがある程度満足できるように遊んであげる計画」で、なんとか愛犬と仕事を両立するスタイルを考えていました。
しかし、まさかの犬の鳴き声が筒抜けのマンションとは予想外のことでした。

ペット可物件でのチェックポイント

マンションでの生活においてほかの世帯の迷惑の元になるのは極力避けたい。そこで悩んだ末の結論は「“子連れ”出勤」でした。

まず、出勤する際に2匹のポメを連れて行くための大き目のバッグを用意。最初はおやつを使って誘導。2匹のポメはすぐに理解してくれて素直に入ってくれようになりました。このバッグを前と後ろに振分荷物にして、バッグからはポメ達が顔を出したままの自転車通勤です。
そんなカッコですから。子どもや学生さん達からは、すれ違いざまに「キャァ~、カワイイ」と言われたり、信号待ちしていると犬好きの方から話しかけられたりと、なかなか楽しい通勤になりました。

ほとんどの時間を一緒に過ごすようになったポメ達の満足度は格段にアップしたはずですが、会社(私が運営)に着くなりテリトリー主張を始めて、今度は来客に向かって「誰?」って吠えてしまう問題がささやかな悩みになりました。

最初からペット可の新築分譲マンションであれば、最初からペットを飼うにあたっての防音や設備などが整っているはずでしょう。しかし、そうでないマンションではそういった設備が整っていないものも多くあるようです。そして、ペット可マンションであればそこに住まう人も、それが前提なのであまり鳴き声などに気を遣わなくて済むことでしょう。

私の場合は、自分が運営する会社だったため、“子連れ”通勤ができたため、解決できましたがペット可宅を探すにあたっては、まずは不動産業者のいうことを鵜呑みにしないこと、契約書や重要事項説明書、管理規約などをしっかりと確認することがとても重要です。そして、その物件が日常生活においても問題がないかをしっかり確認する必要です。この一件はペット可住宅探しの難しさを痛感した経験となりました。

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この記事を書いた人

山本葉子

山本葉子NPO法人東京キャットガーディアン 代表

東京都生まれ。2008年猫カフェスペースを設けた開放型シェルター(保護猫カフェ)を立ち上げ、2019年末までに7000頭以上の猫を里親に譲渡。住民が猫の預かりボランティアをする「猫付きマンション」「猫付きシェアハウス」を考案。「足りないのは愛情ではなくシステム」をモットーに保護猫活動を行っている。著書に『猫を助ける仕事』(光文社新書)などがある。

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