オーストラリアの不動産事情 経済成長と人口増加で住宅不足

1980年代の後半、バブル経済に沸く日本人の間ではオーストラリアの不動産投資が流行した。それから30年あまり、いまや立場が逆転しオーストラリアから日本への不動産投資が急増している。その背景とは、オーストラリアの不動産事情。

木村和人2023/12/21

オーストラリア人がここまで日本の不動産投資に活発になった理由は、日本の地価が安いということもありますが、日本には外国人の不動産取得を規制する法律がほぼないということもあります。
一方、日本人に限りませんが、オーストラリアで不動産投資をする場合、オーストラリアには外資規制があります。
原則として非居住外国人は中古住宅を購入できません。新築住宅なら購入可能ですが、その場合でも外資審議会(FIRB)に申請して許可を得る必要があります。さらに土地を購入して住宅を建てる場合にも外資審議会の許可に加えて24ヶ月以内の着工が必要です。

1ベッドルームで1億円以上、2ベッドルームで2億円以上

では、実際に日本人も購入を検討しているのはどのような物件があるでしょうか?

先日、「世界の家・投資フェア」というイベントに出展していた日豪プロパティソリューションズ社から送られてきたニュースレターにはシドニー郊外の新築ユニットが4件ほど紹介されていました。
それによるとどの物件も1ベッドルームで1億円以上、2ベッドルームや3ベッドルームなら2億円以上の物件ばかりでした。

ご参考までに、私たち外国人は購入することができませんが、メルボルン在住のオーストラリアの友人が所有する2軒の物件をご紹介します。

メルボルン市内の戸建て住宅。売りに出すとしたら2億5000万円程度の価格が見込まれます

 
同じ友人がメルボルン郊外のTorquay(サーフィンのメッカ)に所有し短期賃貸している別荘。

同じ友人がメルボルン郊外のTorquay(サーフィンのメッカ)に所有し短期賃貸している別荘

別荘参考リンク
  
オーストラリアは開発用地が限られていますが、まだまだ人口増が続きます。加えて、住宅価格や家賃を含めてインフレも続くものと思われます。
また、中央銀行は0.1%と史上最低水準だった政策金利をインフレ抑制のために2022年5月から13度も引き上げ、2023年12月現在は4.35%まで上がっています。それでも2024年も住宅価格も家賃も上昇が続くことが予想されています。このため若い世代の人たちには住宅の購入どころか賃貸住宅への入居すらままならない状態になっています。こうした背景もあって先日は「Granny Flat(別棟、離れ)増築のススメ」などという記事が地元メディアに掲載されていました。
大都市圏ですら空き家が増える日本、住宅が足りないオーストラリアと、これも日本・オーストラリアは対称的です。

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この記事を書いた人

木村和人

木村和人ケラー・ウィリアムズ東京 不動産エージェント(保有資格:宅地建物取引士、行政書士など)

当時マンション供給戸数トップの大京に新卒入社で5年間在籍、その後26年間は在日オーストラリア大使館、2018年から豪州最大手不動産会社に勤務、2021年に独立してコンサルタント業と不動産エージェント業を兼業している。趣味はテニス、マンション管理、コントラクトブリッジ。

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